英語でなんて言う? 食事編を翻訳家さんが解説

英語でなんて言う食事編

お食事のシーンで使う言葉、英語でなんて言うのか翻訳家さんにいろいろ教えてもらいました。

使い方の注意点なんかもあったので、聞いておいてよかったネタでした。

関連記事には、深いおもしろ解説があります。

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英語で「乾杯」

乾杯1

Cheers!
乾杯

cheerって、チア・リーディングのチア?

その通りです。

「元気づける」が cheer という他動詞の意味です。

Most of the Japanese was considerably cheered (up) by the great efforts of Naomi Oosaka.
ほとんどの日本人が、大坂なおみの活躍に大いに元気づけられた

名詞の cheer

cheer(名) 「歓呼、喝采、万歳、声援」

Cheers! は、最後に s がついて、複数になっているので、数えられる名詞扱いを受けてます。

一方、数えられない側、つまり、頭に a や an、お尻に s がつかない扱いの単数名詞としては、

words of cheer
励ましの言葉

のような形もあります。

なんかモヤモヤを解決

英語の cheer はラテン語の cara から来てるようで、英語の face(顔)ということだったらしいです。

「顔」にすぎなかった cheer は、14世紀の後半からは「元気の出る表情」というような意味になります。

ニュー・イングランド地方の南部では、イギリス人たちがあいさつがわりに、

What cheer?
どんな気分だい?

とよく言っていたそうです。

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英語で「乾杯」は何ていうか聞いたら意外と深かった話

英語で「乾杯いろいろ」

乾杯2

英語の「乾杯」 Cheers!以外の言い方

Down the hatch. (ダウン・ザ・ハッチ)

という表現も聞くかもしれません。

丸々、Cheers! と同じで、ただ乾杯と言う場合です。

乾杯の一つのパターン

一種のジョークとして「~に乾杯」という習慣があります。

故郷に帰ってきた人がいたら、

Here’s to getting back to home town.

と言うことができます。

Here’s to + 名詞や名詞に準ずるもの

という公式を覚えておくといいでしょう。

「故郷に帰ってきた方向に」乾杯をする的な発想です。

ドロップしてしまった言葉

実は、Here’s と to の間には、隠れた言葉があって、いつのまにか落ちてしまったと考えられます。

それが、

toast

です。
「焼く、あぶる」という意味もありますが、もう一つの意味として「お祝いの乾杯をする」という動詞の意味があり、名詞としても「乾杯」の意味があるのです。

Here’s to getting back to home town.
は、

Here’s a toast to getting back to home town.

と考えると、文法的にもスッキリします。

覚えておきたい乾杯フレーズ3つ

「○○に乾杯」は、

  • Here’s to ○○ !
  • Cheers to ○○ !
  • A toast to ○○ !

もうちょっと正式な乾杯パターン

Let’s make a toast to ○○ !

という言い方をするといいでしょう。

Let’s make a toast to Hanako’s university graduation !
さあ、みんな、花子の大学卒業を祝して、乾杯!

というように使えます。

すでに飲み始めた後の乾杯

誰かが、「実は部長に昇進したんだよ」と話し出したら、さらに乾杯です。

Drink to that!
じゃあ、それに乾杯!

と言えばいいのです。

もっとシンプルに、グラスを持ち上げて、その人を見ながら、

To that!

だけでも十分通じます。

Let’s get drunk !
さあ、酔っぱらおうぜ!

もまた乾杯の代用にできます。

それに対して、

Hear, hear.

なんて言うと、「聞け、聞け」が、「いいね、いいね」の意味になります。

不思議です。イギリス英語ですけどね。

ちなみに、チンチンにも乾杯の意味があります

イタリア語で、

Chin Chin.

と言うと、乾杯の意味があります。

「かんぱ~い!」という受け答えとして、イギリスでは Cheers !のかわりに使われることもあるようです。

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英語で「乾杯」 Cheers!以外の言い方と知っておきたいミニ知識

英語で「乾杯マニアック」

乾杯3

英語で乾杯のマニアックな二つの表現

マニアックな表現の両巨頭と言ってもいい、ちょっと変わった表現が、

A: Here’s mud in your eye !

B: Here’s looking at you !

です。

Bの Here’s looking at you ! という表現は、映画『カサブランカ』で有名になったフレーズです。

おぼろげな記憶だと、往年の字幕翻訳の達人、高瀬鎮夫さんが「君の瞳に乾杯」という訳をつけて、俄然有名になったセリフです。

有名になったのは、名「訳」ということですから、日本だけなのかと思ったら、おっとどっこい、アメリカでもこのセリフは有名です。

おそらくかなり若い人を除いて、知らない人はいないだろうというぐらい有名なんですよ。

誤訳だという指摘とは…

映画監督の原田真人さんが、これは誤訳であって、ほんとに大ざっぱに言うと、

Here’s to looking at you.

の中の、Here’sの後ろに to が付いてないから、誤訳の元になったというのが根拠らしいのです。

映画『カサブランカ』の名訳の再検証

アメリカ人は Here’s looking at you.というセリフのこと、どう受け止めてるのか、やはり、気になります。

ということで、ネイティブの意見を中心に調べてみることにしました。

よく調べていくと、やはりこれは乾杯の時の導入部だという例証がいくつも出てきて、どうも『カサブランカ』以前からこの表現はあったということが分かってきました。

マーク・トウェインも使ってた乾杯の~ing形音頭

実は、Here’s looking at you. とよく似た

Here’s hoping.

という言い方があります。

Here’s ~ing.という言い方は、乾杯の音頭として「あり」だということなんです。

かのマーク・トウェインも、ゴールドラッシュ時代の酒場のエチケットのくだりで、乾杯の音頭として、

Here’s hoping you’ll strike it rich in the lower level.
地下のほうで(金鉱を見つけて)君が大当たりしますように乾杯

という一例を挙げてます。

いつも~ing形ばかりじゃないよ

乾杯の音頭は、いつも~ing形ばかりではないようなのです。

それが、冒頭に挙げたAのパターンの、

Here’s mud in your eye.

なんです。

なぜ泥なんでしょう?

これには二つの説があって、結論から言うと、競馬が起源らしいのです。

聖書で、キリストが盲人の目に泥を充てると、その盲人の目が見えるようになったという故事があって、それが由来だという説

競馬のレースのゴール前で、先頭を走っている馬の蹴った泥が、後続馬の騎手の目に当たるという状態。先頭を走っている馬の馬主は、後続馬の騎手の目に泥が入って、自分の馬が逃げ切ることを願うという意味で、Here’s mud in your eye.というフレーズが生まれたという説

ただ、一つひっかかる問題が…

では、なぜ、

Here’s mud in your eye.

と言い、

Here’s mud in your eyes.

と、目が単数ではなく、複数にはならないのだろうか、という問題が残ります。

目のeyesはいつも複数とは限らない

特に、英語の熟語に「目」が出てくる時は、いつも eyes は複数とは限りません。

by eye
目分量で

とか、

That sign caught my eye.
あの看板が目に入った
My eye
ばかばかしい

「ってことは、Here’s mud in your eye.は決まった言い方だから、そのまま覚えればいいんだよね?」

と言われれば、その通りと答え、言われたほうはそれで納得するのが素直な姿勢です。

結局、ここは素直に考えたほうがよさそうな気配なんです。

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英語で「乾杯」のマニアックな話を翻訳家さんがしてくれました

英語で「一気飲み」

一気飲み

chug

という言葉があり、これは「一気飲み」ということです。

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動詞でも使えますし、名詞としてもいけます。

Chuck chugged his beer.
チャックはビールを一気飲みした

というふうに言えます。

Chug! Chug !Chug!

と、chugを「一気飲みする」という他動詞として使えます。

他動詞ということは何か目的語ないといけないので、itをドリンク代わりに持ってきて、

Chug it! Chug it!

でもOKです。

まあ、洋の東西を問わず、一気飲みはあまりいい習慣とは言えません

他の言い方

副詞の down を動詞に転用して、

Down it in one!
一気に飲め

とも言えます。

また、掛け声ふうに、

Bottoms up!

とも言いますね。

ジョッキやグラスの bottom(底)を上に上げろというわけです。

まあ、とにかく、一気飲みは、健康を害する危険性があるので、絶対に無理に人をあおったりしないようにしてくださいね。

では、一気飲みを回避する方法

決まった言い方があるわけではないですが、
「ふざけるなよ」系の言葉をまず並べて、まず予防線を張りますね。

「ふざけるな」系でまず、いちばん、分かりやすいのは、

Come on!

ですかね。

カタカナで書くのは難しいのですが、カモ~ンと、なげやりな感じでモのところを強く発音します。

あるいは、わりと親しい間柄なら、

Get out of here.(ゲらウラヒー)

ひらがなの「ら」を強く読むのがコツです。

これは「出て行け」という意味でも使うフレーズですが、「ふざけてんのか、お前帰れや」的なノリです。

No way!

というのもあります。

カタカナだとノーウェイですが、「のー、うェイ」と、「の」と「う」を強く発音するのがコツです。

「ありえへん」とか「まさか」みたいなノリです。

で、結局、この圧力に打ち勝つのは、並大抵のことではないので、

Come on, guys, do it yourselves.
かんべんしろや、お前たち、自分でやれ!

という予防線はどうでしょう。

最後に究極の回避方法

ケンカも覚悟で、

(Do) you wanna(want to) step outside?
表へ出たいか≒表へ出ろ

があります。

ほんとに「表に出る」ことになったら、がんばってください。

当方は一切責任を持ちませんので。

お酒を勧められた時にも使えるので、ねんのため、書いておきます。

Today is my dry day.
今日は休肝日なんで
I don’t drink alchol.
下戸なんで

ですが、「お酒飲まないんで」は、時すでに遅しの場合もあるでしょうし、少ししか飲めないニュアンスがゼロなので、

I’m a light-weight (drinker).

とか

I’m a social drinker.

なら、ほどほど感が出ます。

あまり耳慣れない chug

chug は、今ではあまり見かけることのない蒸気機関車の機関車の音、シュッシュポッポの音を真似した、擬音語と言いますか、いわゆるオノマトペなのです。

日本では機関車の擬音語はシュッシュッポッポと決まっていますが、英語では chug と言うんですね。

オノマトペの永遠の溝

英語と日本語の音の取り入れ方の感覚はずいぶん違います。

犬の鳴き声
bowwow(バウワウ)

鶏の鳴き声
cock-a-doodle-doo(コッカ、ドゥードゥル、ドゥー)

ニャーオやニャーゴの猫の場合
ミャオウの miaow
ミャウの meow
ミュウの mew
ヨウルの yowl

これ、全部、猫関係です。

くしゃみの音も違いますよ

アメリカでは、achoo とか ahchoo と書いて、アチューと言い、おもしろいのはイギリスではちょっと違って、atishooとか kerchooと書いて、アティシューとかカチューと言います。

ちなみに、英語圏では、誰かがくしゃみをしたら、

(God) Bless you.
神のご加護≒お大事に

と声をかける習慣があり、必ず、

Thank you.

と返礼する習慣もあるので、いつか試してみましょう。

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英語で「一気飲み」と回避の言い方を翻訳家さんに聞いてみました

英語で「別腹」

別腹

I have a hollow leg.

英語にはおもしろい言い方があります。

この hollow というのは「空っぽ(な)」という意味で、

「僕には空っぽな脚がもう一本ある」という発想でしょうか。

脚が空っぽなんで、そこに飲み食いしたものが、落ちる=収められるという発想です。

Would you like to have a dessert?
デザートはいかがですか?

なんて、尋ねられたら、

I have a hollow leg.
デザートは別腹だから

と答えればいいわけです。

別腹はある意味

この表現は、別に食べ物の場合とは限らず、お酒とか飲み物にも使えるので、便利です。

お酒に関して言う時は、

He has a hollow leg.
あいつは底なしだ

とも言えるわけです。

「別腹」から「底なし」になっちゃいましたね。

不思議です。

英語で「甘い物好き」は何と言えばいいのでしょう?

別腹使用率の高い「甘い物好き」は、

I like sweets.

でもいいのですが、

I have a sweet tooth.

という言い方もあります。

「甘い歯がある」というのは、歯が甘いわけじゃないのに、おもしろい言い方ですね。

a tooth が「食べ物の好み」を表しています。

知識の「別腹」

この「別腹」に当たる英語からは、他にも英語の使えそうな表現へ知識が広げられます。

「甘い物は別腹だから」という場合には、

There’s always room for..
…に関してはいつも余裕がある

…に関しては断るつもりはない

という公式が使えます。

There’s always room for sweets.

と言えば十分に同じことが言えるわけですし、

There’s always room for another drink.
おかわりには目がない

とも言えますし、

There’s always room for you.
君の場所ならいつでもあるよ

と言うこともできます。

別腹の上品

「別腹」には、否定形に妙味があるこんな言い方もできます。

I’m never too full for dessert.
デザートは別腹だよ

という言い方です。

「お腹いっぱい」と言って断る時の

I’m full.(アイム・フル)

という、シンプルな言い方です。

「別腹」は、「あまりお腹いっぱいすぎではない」というふうに考えて、「決して~過ぎではない」の never too の連関を使います。

別腹の直球

I have a separate stomach for desert.

と言うと、

separate stomach は「別の胃」ですから、「別腹」感がぐんと出るかもしれません。

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英語で「会計」

会計

Check, please.
お会計してください

いちばん簡単な言い方がこれです。

最低限、please は付けましょう。

「お会計してください」のていねいな英語

日本語でもただ「おあいそ!」なんて言うと、ぶっきらぼうに感じますから、「お会計してください」ぐらいのていねいな英語の言い方だと、

Can I have the bill/check, please ?

あたりでしょうか?

イギリスでは bill、

アメリカでは check が好まれるようです。

どちらの単語も勘定書き、つまり、請求書のことです。

英語らしい表現

いかにも英語らしい言い方がありましてね。

それが、

What’s the dameage?

という言い方です。

「被害はどのくらい?」ぐらいの意味で、おもしろい言い方ですね。

「財布の痛手(痛め具合)はどの程度?」というふうにも解釈できます。

日本語のお会計事情

日本語では、

「お会計してください」
「お愛想お願いします」
「お勘定お願いします」

と言う人もいるでしょう。

お勘定は、勘定の「勘」が「考える」で、勘定の「定」が「決める」というのが漢語の元々の意味だったそうで、平安時代の頃から「物や金銭を数える」という意味が発生したんだそうです。

「おあいそして」は、要注意

この言い方は、元々はお店側が使う隠語のようなものです。

勘定書きなんか出すのは、愛想がない。

「愛想がなくて、申し訳ありません」

この言い方をお客側が使うと、「こんな店には愛想が尽きたから、清算してくれ」という物騒な意味になってしまうのです。

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まとめ

食事のシーンで使いそうな言葉の英語を教えてもらいました。

乾杯だけでもいろいろあって、英語は難しいなって思います。

しかし、26文字のアルファベットを組み合わせた言語の方からすれば、

50音のひらがな、約3,000字の常用漢字を組み合わせた言語のほうが難しいはずです。

で、日本語を上手に話せる英語圏の方はたくさんいます。

勉強しようって思います。

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