英語でこれってなんて言うんだ?って疑問を、翻訳家さんが解決してくれました。
その中で、個人的に面白いなって思ったものを集めました。
英語はもちろん、脱線して聞いた表現や、ついでの引っ掛かりや、日本語のことも教えてもらいました。
関連記事には、深いおもしろ解説があります。
英語で「大根役者」
英語ではハム役者と言います。
ハム役者
食べ物でうまく対応してますね。
ham-handed とか ham-fisted とか
ham-fisted → ハムでできた拳
どちらも「不器用」という意味です。
じゃあ、無線のハムはどうしてくれるのよ?
アマチュア無線のことも ham と言います。
食べるハムとは違います。
アマチュアという言葉から来ているのです。
amateur
amateur が
↓
ややこしいスペル ateur をカット
↓
am になって
↓
聞き取りにくいんで「 h 」をくっつけてham
こんな流れだったようです。
こんなエピソードもつけ足しておきましょう
伊藤ハムというハム・メーカーのテレビCMにシルヴェスター・スタローンが出ていたことがあります。
CM契約の時に、「これはアメリカ本土で放映しないこと」という付帯条件が書かれていたという都市伝説も…。
日本語の「大根役者」はなぜ大根?
諸説あります。
人気のない役者は、馬の着ぐるみを来て、脚の役をやることが多く、その脚が大根に似てるからだ、という説など。
イチオシは、
「大根は中らない」説です。
食中りの「あたらない」です。
芝居は「当たらない」と大根の「中らない」をかけてあるというのです。
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英語で「大根役者」は何て言うのか翻訳家さんに聞いてみた
英語で「空耳」
です。
hear things が肝です。
「~しなければいけない」の must ではなくて、推測の must です。
英語の別の言い方
「(あなたがそれを)聞いた気になってる(想像してる)だけだ」という形で、imagine「想像してる」の部分に「空」が反映されています。
でも、ちょっとまわりくどい言い回しですね。
空目ってあるの?
英語の hear things を英英辞典で引くと、必ず、
hear (or see) things
「そこには実際にない物が聞こえたり、見えたりすること」
とあります。
空目もあるってことです。
Wikipediaに、空目ってありますね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E7%9B%AE
mondegreen って知ってますか?
シルヴィア・ライトというアメリカ女性作家が、小さい頃、よくスコットランドのバラッドという古い物語詩を聞かされていたんだそうです。
その詩に出てくる、
And laid him on the ground
の部分が、どうしても
Lady Mondegreen
に聞こえたというエッセイをある雑誌に書いたんですね。
空耳の元祖なわけです。
世界レベルのソラミミ
タモリ倶楽部の空耳アワーは、ネットのおかげで、世界中に知られてるみたいで、空耳関係の英語の記事の中には、Soramimiと日本語で書かれてます。
英語で「他人の空似」
座りのいい名詞の形が、英語にはありません。
AはBにそっくりだ
というパターンに公式化できます。
あるいは、単に、
あ、それは単なる偶然だよ
と、おもしろくも何ともない表現になってしまうかもしれません。
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英語で「空耳」って何て言うのか翻訳家さんに聞いてみました
英語で「ハナモゲラ」
タモリさんのハナモゲラ語は英語で何と言うのでしょう?
英語の前に、アラフィフ以上じゃないとハナモゲラ語が通じないかもしれないので…。
インチキ外国語のことで、いかにも外国語っぽく発音してるように聞こえるのですが、実はまったく架空の言語なのです。
wikiにもあります。
ハナモゲラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%A2%E3%82%B2%E3%83%A9
英語もちゃんとあります。
英語では、これを
と言います。
ジバーリッシュは一種の言葉遊びにもなっていて、
例えば、
↓
didigog(ディディゴッグ)
こんな具合に、d と og の間に「idiig」というスペルをわざわざ挟む遊びです。
いざやってみると、なかなかめんどくさいのです。
で、この単語、ちんぷんかんぷんだという意味合いに使えます。
彼らの言ってることはちんぷんかんぷんだ
四か国麻雀からハネモゲラ・ワールドへ
いちばん有名なのは四か国語麻雀じゃないでしょうか?
タモリさんが、中国人もどきを装って、インチキ中国語をしゃべりながら一人で麻雀をするんですが、中国語っぽいけど、時々、日本人にも分かるようなインチキ単語を入れてくるもんですから、インチキと分かるところがおかしいわけです。
もともとハネモゲラというのは、ジャズ・ピアニストの山下洋輔さんのグループのことで、ハナモゲラ語の発案者はサックス・プレイヤーの坂田明さんのアイディアとも言われています。
関連本も発売されてたりします。
ホブソン・ジョブソンって何だ?
という、gibberish と非常に似た現象が英語にはあります。
イギリスがインドを統治していた頃に生まれた言葉で、インドのムスリムたちのハーシュラーというお祭りの掛け声に、
「ヨー、ハッサン。ヨー、ホセイン」
みたいなのがあって、
「ホッシーン、ゴッシーン」
↓
「ホッシー、ゴッシー」からの、
↓
「ホブソン・ジョブソン」になったと。
この繰り返しは、イギリス人は大好きで、
- Humpty Dumpty
- hokey pokey
- namby-pamby
- mumbo-jumbo
も繰り返しのネタです。
やっぱり空耳は重要
ハナモゲラ語からホブソン・ジョブソンに至るまで、通底してるのは、結局、”空耳”というキーワードだったわけなのです。
大枠の言語システムみたいなことを理解するのも、英語の習得にはとても大事なことだと、僕は考えているのです。
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英語でハナモゲラ語はなんて言うか翻訳家さんが教えてくれました
英語で「地獄耳」
という動詞と名詞を使って表せます。
「よく聞こえる」→「情報通である」
ということになるわけです。
でもいけます。
英語にも地獄耳ニュアンスな言い方もあるぞ
「こそこそした」感じの隠微な情報通を、ネガティブに言う英語の言い方
という動詞です。
eavesdrop(イーヴスドロップ)という英語から、雨の降る日に軒下に立って、中の家の話を立ち聞きしてるイメージが浮かんだら、あなたは相当の英語通です。
eaves → 軒下
drop → 雨粒
「軒下雨粒」と四文字言葉の連想から、探偵とか刑事とかスパイのように雨に濡れながら人の家の軒下に立って、家の中の話し声を立ち聞きしているイメージが湧いてきませんか?
というわけで、この eavesdrop という言葉には、「こそこそ」感がついて回ります。
地獄耳の意味
①他人の秘密・情報などをいちはやく聞き込む能力を持つ耳。また、その能力(を持った人)。
②一度聞いたら忘れないこと。袋耳とも言う。
一度聞いたら忘れない耳の英語
先に出てきた、
「一度聞いたら忘れないこと。袋耳とも言う。」
こちらの英語は、
彼は象のような記憶を持っている。
がぴったりです。
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英語で「チャラい」
チャラい
浅い
あいつ、ほんとチャラいからな
「あいつ、ほんと浅い → 中身がない → チャラい」
ちゃら男
という言葉があります。
あんたって、ほんとチャラいわね
「女ったらし」の英語
英語では、woman を動詞的に使って、「~する人」の er を woman と合体させたwomanizer(ウーマナイザー)っていうのがあります。
プレイボーイ
playboy
は女ったらしの意味で使えます。
player
っていう言葉も、女ったらしの意味でも使えることは使えます。
強めの言葉を付け足したほうがいいかもしれません。
あいつは、えらくチャラい
アーティスト
という芸術家みたいなのもあります。
頭文字をとって、
PUA
と言ったりもします。
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英語で「へそ曲がり」
という形容詞があって、それが使えます。
あいつはへそ曲がりだからな
the がくっつかない名詞
contraryには、
という、びったしの名詞もあります。
でも、バッチリです。
文句ばっかたれてる
「あいつはへそ曲がりだな」は、「あいつはいつも文句ばっかたれてる」という意味にとらえて、
でもいいかもしれません。
屁理屈をこねる
という動詞です。
進行形のテク
「なんであんたは、急にへそ曲がりなことをするんだよ」
と言いたい時は、
で相当バッチリです。
You are contrary
と言い切ってしまった場合は、「あなたはいつもへそ曲がりだ」ということになってしまいます。
現在形というのは、ある様子が「常態化してる」時に使うという大前提があるのです。
「へそ曲がり」のへそ
「へそ曲がり」のへそは、おなかのへそじゃなくて、綜麻(へそ)と書き、糸が織機にかけられる時のように、より合わせた麻糸のことで、巻いた糸のことだそうです。
英語で「へそ」
英語で、体の真ん中の「へそ」というのは、
とか、間を空けない
です。
とも言って、tammyは「ポンポン」という意味の幼児語です。
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英語で「調子に乗る」
英語では、
とか
とか
あたりでしょうか?
直訳すると、「興奮しすぎた状態になる」ということです。
ちょっと調子に乗る
昨日の夜はちょいと調子に乗りすぎて、飲みすぎちまった
a bit は、a little と同じく、「ちょっとだけ」「ちょいと」ということです。
動きのニュアンス
もちろん、get という動詞のかわりに、be動詞を使って、
Last night, I was a little carried away and I drunk too much.
と言っても十分意味は通じますが、「調子に乗る」の「乗る」にあるような動きのニュアンスが感じられません。
実は、get を受け身に使った get+形容詞とか過去分詞って、
被害の get
と言って、被害の感覚が強く出るケースがあるのです。
「お調子に乗る」は、ほとんどの場合、「やっちまった~」という話の場合でしょうから、get と相性がいいわけです。
こら!
「こら、調子に乗るな」といさめる場合。
Don’t get too excited
Don’t get too carried away.
英語で「お調子者」
とか
あたりでしょう。
あいつはクラスのお調子者だ
と言えば、通じます。
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英語で「重役出勤」
英語で重役出勤は何て言う
「重役出勤」という表現に近いのが、
というフレーズです。
「ファッショナブルに遅れてきた」
↓
「(ご大層に)かっこつけて遅れてきた」
という考え方で、まるで重役みたいで「偉そうに」というニュアンスです。
英語でおしゃれな無精髭
と言います。
というのも聞いたことがありますね。
ちなみに、
というのは、無精髭のことで、
とも言います。
「夕方五時に差す影」のほうがファッショナブルに響くのは、現代の感覚なんでしょうか?
fashionable が大活躍です。
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英語で「真っ赤な嘘」
英語で「真っ赤な嘘」は何と言う?
「真っ赤な嘘」というのは「完全な嘘」ということですから、早い話が
でいいわけです。
ただ、嘘と組み合わせるのに、「完全な」の言い方には色々な単語が使えます。
というのも「真っ赤な嘘」に入ります。
「目に余る、言語道断の」という意味の形容詞 flagrant も使えますから、これまた立派に「真っ赤な嘘」です。
「完全な」なら、out-and-out というのも「徹底的な嘘」なので、これも「真っ赤な嘘」になりますね。
赤じゃなくて白
この流れでは、
色の話
「天にまします我らの父よ・・・」で始まる神への祈りですが、
主の祈りとも主祷文(しゅとうぶん)
ともいいます。
悪意のない純粋な祈りを、
よからぬことを企み、それが成就しますようにという祈りを、
緑とか青とかピンクとか
嫉妬の色は、シェイクスピアが『オセロ』で嫉妬の怪物をgreen-eyed monsterと言ったり、『ヴェニスの商人』でも green-eyed jealousy (緑の目をした嫉妬心)と言ったりしてました。
西洋では「顔色が悪い」のは green とか pale(青白い)と言われていたようで、ギリシャ人は、病気または嫉妬心を抱くと、体から胆汁が出て、顔色が悪く(緑に)なると言われていたようです。
ちょっとHなことになると、日本語ではピンク色を使いますが、英語で pink は健康を意味しますよ。
「お前、すごく健康そうだな」
と言ったりします。
さらに深堀りした記事がこちら
↓ ↓ ↓
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英語で「起承転結」
英語で起承転結は、
でいいでしょう。
日本の物語の四つの構成という方法をネイティブがしてるのかというと、そうとは限りません。
英語圏ではひとつ多かったり
英語圏のストーリーの構造について語っている人は、
語り口のドラマ上の構成
と言う人もいます。
dramatic structure には、五つのステージがあって、それは
- exposition
- rising action
- climax
- falling action
- denouement/resolution(解決)
の五段階とする人もいます。
今さら聞けない起承転結という言葉の起源
ざっくり、漢詩から来てるってことだけは覚えておいて良さそうです。
欧米ではひとつ減ったり
起承転結と並んで、日本の歌舞伎や能や茶道などには、「序破急」という言い方もあります。
実は、英米を含め、欧米ではこの三幕構成が多く、どうやら序破急が世界標準ということのようです。
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英語で「序破急」
英語の感覚で言いますと、
男子が女子と出会い、男子が女子と別れ、また女子を取り戻す
に置き換えられます。
というフォーミュラ(公式)がほとんどのロマコメの映画に当てはまります。
惜しくも今は亡くなってしまった偉大なアメリカの映画評論家のロジャー・エッバートという人が、この「序」の部分に大事なポイントとして、Meet-cuteという言葉を編み出しました。
Meet-cute(ミート・キュート)って何だろう?
読んで字のごとく、「キュートな出会い」ということです。
覚えておいて、損のないキーワードです。
電柱をくるくる回ったりした後、たまたま通りがかった車の助手席にドスンと乗ると、それはヒロインの運転する車だったというオチです。
こんな出会いです。
boy とか girl みたいに人じゃなくてもいい
と考えれば、Xのところに来るものは常に異性の意中の相手でなくてもよくて、たとえば、
それを直す方法を、見つけようとするも、その方法の手がかりを失い(=破)
苦労の末に手がかりを手にする(=急)
という三幕構成でもいいわけです。
序破急の意味
元々は雅楽の舞楽、つまり、舞いから出た言葉で、そこから一般に能楽をはじめ、連歌(れんが)、蹴鞠(けまり)、香道(こうどう)、剣術、居合抜きの居合道、茶道など、日本のほとんどの芸道で使用される言葉だそうです。
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まとめ
英語にはドンピシャな表現がないものも、ニュアンスがぶれていないと、うまく伝わるんだろうなあって思います。
いつも思いますが、翻訳家さんって日本語のスキルが高くないとできない職業な気がします。
英語も日本語も、日々勉強です。
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