「調子に乗る」って、悪いイメージで使われがちですが、そんなに悪いことじゃないと思ってます。
調子に乗れる時期って、無いよりあったほうがいいかと。
乗れずに終わるより。
英語の表現、翻訳家さんに聞いてみました。
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英語でなんて言う? 面白ネタ編を翻訳家さんが解説
「お調子に乗る」って、英語では何と言うの?
英語では、
とか
とか
あたりでしょうか?
直訳すると、「興奮しすぎた状態になる」ということです。
ちょっと英語の解説をすると、
この三つとも、get を使った受け身形になっていますから、「~になる」というやや動きのある get を使って状態を表しています。
「静」の be動詞は、(元から~という状態である)である一方、
「動」の get という動詞は、(元の状態から~の状態になる)で、
どちらも結果的には状態を表しますが、動と静のニュアンスの違いがあります。
分かりやすく言えば、違う状態をゲットするわけです。
ちょっと調子に乗る
日本語でも、「ちょっと調子に乗りすぎた」と「ちょっと」を入れて、文字通り、「調子を」つけることがありますが、英語も同じで、
昨日の夜はちょいと調子に乗りすぎて、飲みすぎちまった
というふうに使えるわけです。
ちなみに、overexcited の前にちょいとはさんである a bit は、a little と同じく、「ちょっとだけ」「ちょいと」ということです。
動きのニュアンス
もちろん、get という動詞のかわりに、be動詞を使って、
と言っても十分意味は通じますが、「調子に乗る」の「乗る」にあるような動きのニュアンスが感じられません。
なので、get の過去形である got を使うと、「やっちまった」感が強く出ます。
なんでかっていうと、実は、get を受け身に使った get+形容詞とか過去分詞って、
と言って、被害の感覚が強く出るケースがあるのです。
例えば、よゐこは知らなくてもいいのですが、get laid って、スラングで男女が一つになるという意味なんです。
この get laid は、もともと、直訳すると、「寝かせられる」という受け身的な意味です。
ねんねしたくもないのに、「ねんねさせられる」という大人の事情の、被害者的な意味です。
それがいつのまにか能動的な、「一夜を Let’s spend togetherしようぜい!」みたいな、忌野清志郎とかローリング・ストーンズみたいな意味になってしまったんです。
もっと分解すると、laid が文字通り「寝かされ」で、get が「ちまう」というわけで、「無理やり寝かされちまう」大人の事情の言葉です。
それとか、ニュースなんかで、~人の死者が出たなんていう場合、新聞の見出しでは、
とか、35人の負傷者が出たなんていう場合は、
と書かれていたりします。
被害意識が全開です。
こういう場合は、圧倒的に was killed より got killed のほうが、
「自分は悪くないのに」=「被害」の感じが出ます。
そういうわけで、「お調子に乗る」は、ほとんどの場合、「やっちまった~」という話の場合でしょうから、get と相性がいいわけです。
こら!
ただ、反省する場合だけじゃなくて、「こら、調子に乗るな」といさめる場合もあるので、そういう時は、Don’t を使って、上の三つを使えばいいので、
と言えば、事足ります。
関西弁の「いちびる」って何?
ところで、話はそれますが、大阪の人とか関西系の人がよく言う「いちびる」っていう言葉、聞いたことあります?
「いちびる」というのは、「お調子に乗る」という意味の大阪弁らしく、お調子者のことは、「いちびり」と言うそうです。
語源は、「市振る」と書くそうで、賑やかな市場のせりを思い出してもらえばイメージしやすいのですかね。
ああいう市場のような活気があるフリをする、が「いちびる」の元らしいです。
「いちぶる」が「いちびる」に変化し、「いちびり」で名詞化したようです。
英語で「お調子者」
では、「いちびり」という言葉が出てきたので、標準語版の「お調子者」は英語で何と言うでしょうか?
ずばり、一語の英語では、
とか
あたりでしょう。
あいつはクラスのお調子者だ
と言えば、通じます。
clown は、「道化師」とか「ピエロ」っていうことです。
あと flip というのは、「はじく」という意味ですから、「軽々しい」→「お調子者」という流れです。
動詞もありますが、ここは名詞扱いです。
最後に
「昨日の夜は、調子に乗りすぎて、飲みすぎたんで、今朝は、ひどい二日酔いなんだ」
という日本語を最後に英語にして、今日のまとめとしましょう。
二日酔いになると、ひどい自己嫌悪に陥った上に、頭も回りませんよね。
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