英語にも空耳ってあるはずですよね?
どんな国の人も、「なんか聞こえたような気がする」ってことはあるはずです。
スカイイヤー?
苦笑いで、翻訳家さんが教えてくれました。
PICK UP
▼まだまだ聞いた翻訳家さんの面白解説▼
英語でなんて言う? 面白ネタ編を翻訳家さんが解説
英語で「空耳」は
結論から言うと、
です。
hear things が肝です。
ここの must は「~しなければいけない」の must ではなくて、推測の must です。
〈mustの深掘りはこちら〉
くどく訳すと、「君は(ありもしない何かが)聞こえたに違いないよ」と言ってるわけです。
日本語の「空耳」という言い方は、「(それは)空耳だよ」のように、名詞の言い切りの形が主ですよね。
強いて言えば「空耳が聞こえる」という言い方ができるかもしれませんが、あまり、座りがいいとは言えません。
「空耳がする」も、まあまあ、ありかもしれません。
ま、それはともかく、英語の「聞こえる」の部分は hear で問題ないとして、things は「もろもろ(のこと)」という曖昧な言い方です。
このようにいったん他動詞としての hear を出したら、目的語の名詞を立てないと、英語は立つ瀬がないのです。
英語の別の言い方
がいいと言う人もいるかもしれません。
これは、「(あなたがそれを)聞いた気になってる(想像してる)だけだ」という形で、imagine「想像してる」の部分に「空」が反映されています。
でも、ちょっとまわりくどい言い回しですね。
僕の場合、「空耳」と聞いて、真っ先に頭に浮かぶ言い回しは、上の
のほうですね。
空目ってあるの?
英語の hear things を英英辞典で引くと、必ず、
と出てきて、「そこには実際にない物が聞こえたり、見えたりすること」という説明が書いてあります。
つまり、hear (or see) things は熟語、イディオムなわけです。
ということはですよ、「聞く」空耳だけでなく、英語には「見る」ほうの“空目”もあるっていうことじゃないですか。
それはぜひ、日本語にも取り入れたいですよね。
「あ、今、誰かが通った」
なんていうとき、「あ、それは空目だよ」
と言えたら便利じゃないですか。
こんなとき、日本語ではどう言いますかね。
「亡霊でも見たんだろ」とか、「病院行ったら?」ぐらいしか返ってこないかもです。
それは、つまらないなあ。
空目を普及させましょうよ。
勝手にキャンペーンスタートです。
ん?
Wikipediaに、空目ってありますね。
浸透具合は弱めっぽいですが…。
いいのか、キャンペーンは。
mondegreen って知ってますか?
mondegreen って聞いたことあります?
え、ユーグレナの仲間、じゃありませんよ。
ユーグレナって、ミドリムシの総称ですから、そんな連想があったとしても無理はありません。
この mondegreen も空耳のことなのです。
この言葉をネットで検索すると、いろいろおもしろい「空耳」例が拾えると思います。
ただ、日本人にはまだあまり知られていませんので、検索しても英語の歌詞を取り上げてる場合が多いでしょうけどね。
もっとも、ネイティブでもこの言葉を知らない人はいるかもしれません。
mondegreen が空耳?
シルヴィア・ライトというアメリカ女性作家が、小さい頃、よくスコットランドのバラッドという古い物語詩を聞かされていたんだそうです。
で、その物語詩の「彼らはモーレイ伯爵を殺し/緑の上に寝かせた」という一節の後半部分、
の部分が、どうしても
Lady Mondegreen
に聞こえたというエッセイをある雑誌に書いたんですね。
1954年のことです。
で、
laid him のところが Lady に、
on the のところが Monde に、
ground のところが green に聞こえたというわけです。
子供ですから、無理もありません。
でも、これ、まさに、空耳の元祖なわけです。
シルヴィアさんのそんな一言が、Mondegreen という風に言葉となって、ある意味、都市伝説化するのは、おもしろいですね。
しまいには、辞書にも載って、アメリカ英語のウェブスター系の辞書に載ったのが2000年、イギリス英語のオックスフォード系の辞書に載ったのが2002年と言いますから、言葉としてはずいぶん最近の言葉ということになります。
一流の辞書にはあの文豪のドストエフスキーの例を引いてあるそうですから、そのぐらい昔から、言葉としてはなくても、空耳的な事象はあったわけですね。
ただ、辞書に載ったのも最近なぐらいですから、知らないネイティブも十分考えられるわけです。
モンデグリーンは、深掘りすると、結構、おもしろいことだらけなのです。
雄大な空耳
日本語の空耳は、意味は違えど、大空も連想させてくれるので、すばらしく雄大なイメージがありますね。
タモリ倶楽部の名物コーナー”空耳アワー”のタイトル・ロゴで、耳が大空に君臨しているイメージは実に秀逸です。
さすがはタモリさん。
というか、スタッフですかね。
世界レベルのソラミミ
タモリ倶楽部の空耳アワーは、ネットのおかげで、世界中に知られてるみたいで、空耳関係の英語の記事の中には、Soramimiと日本語で書かれてます。
日本語の「Umami(うまみ)」もついに英語の辞書に載ったと聞きますから、変な言い方ですが、さすが空耳です。
いや、空耳だけに、他人の空似かもしれませんけどね。
あ、「他人の空耳」も、空つながりで、ついでにやっておきましょう。
英語で「他人の空似」
「他人の空似」はすいませんが、こんなふうに座りのいい名詞の形が、英語にはありません。
このコーナーではよくある名詞化できないパターンですね。
なにか、ある話題が出てきて、「あ、それは他人の空似だよ」というのが、日本語の会話のパターンですけど、ある話題をAとして、似てる先をBで表現するしかないのです。
ということで、
AはBにそっくりだ
というパターンに公式化できます。
他人の空似って、何かがたまたま何かに似てるということじゃないですか。
空似の空って、説明がむずかしいけど、似てるけど、おしい、むなしいというニュアンスですよね。
空振ってる感じです。
動詞の「happen to~」は、「たまたま~する」という熟語です。
X look like Yというのは、「XはYに似てる」という意味の常套句で、justはこの場合、「すごく」の意味の強めです。
「XがYにすごく似てる」=「他人の空似」というわけです。
あるいは、単に、
あ、それは単なる偶然だよ
と、おもしろくも何ともない表現になってしまうかもしれません。
最後の coincidence は、「偶然」です。
発音は、コイン市電ス、(あ、すいません、変換ミス)・・・
もとい、コインシデンスで、インのところを強く読むといいです。
「コイン市電ス」は「市電にはコインです」みたいに、「たまたま似てた」みたいな空振り感ないスかね。
モンデグリーンみたいに、変換ミスのこと、「コイン市電ス」と言うように・・・ならないか。
コメント