英語で「乾杯」は何ていうのか、翻訳家さんに聞いたら、深めなお話が聞けました。
考えたこと無いとこまで教えてもらいました。
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▼まだまだ聞いた翻訳家さんの面白解説▼
英語でなんて言う? 食事編を翻訳家さんが解説
英語で「乾杯」って何て言うの?
乾杯
乾杯は英語で何て言うの、と言われれば、そんなの簡単じゃない、Cheers!(チアーズ!)と言う人はほとんどだと思います。
でも、なんで Cheers!が「乾杯」という意味になるのか、知ってる人は案外少ないと思います。
もっとこのCheers!という表現を細かく見ていくと、まず目につくのがcheerというsの付いてない根幹部分ですよね。
そもそも cheer とはどういう意味なんでしょうか?
そのへんからひもといて行きましょう。
cheerって、チア・リーディングのチアなんじゃないの?
その通りです。
「元気づける」が cheer という他動詞の意味です。
元気の源になるチア
いつぞや、日本人初のテニスの四大大会で優勝を飾った大坂なおみ選手の活躍に日本人の誰もが歓喜しましたね。
それを英語で言うと、
ほとんどの日本人が、大坂なおみの活躍に大いに元気づけられた
というふうになるわけです。
なので、チア・リーダーというのは、ひいきのチームを応援する、主に女性たちが応援をリードする(引っぱる)ので、チア・リーダーと呼ばれるわけで、それをチア・リーディングと言ったりするわけです。
上の英語の文章の( )の中にupという言葉が、微妙に隠れています。
cheer という動詞そのままでも使えますが、up が加わることで、日本語の流行言葉じゃないですけど、cheer がより「アガる」わけです。
というわけですから、Cheer up! という目的語のない自動詞の形でも、まんま「がんばれ!」「元気を出せ」の熟語としても使えます。
元気のない人がいたら、そう声をかけてあげましょう。
名詞の cheer
さてさてそれでは、cheer は名詞にもなっているので、そちらを見てみましょう。
数えられる名詞としては、
と載っているはずです。
Cheers! は、最後に s がついて、複数になっているので、数えられる名詞扱いを受けてます。
一方、数えられない側、つまり、頭に a や an、お尻に s がつかない扱いの単数名詞としては、
励ましの言葉
のような形もあります。
また、古い用法としては、固く、文語の扱いで、
などとあります。
上記の「歓呼」→「励まし」→「喜び」という意味の流れのように見えますが、むしろ意味は古いほうから流れてくるので、矢印が逆と考えたとしても、どうも今一つピンときません。
しかも、そのあたりの意味がどうして乾杯につながっていくのでしょうか?
なんかモヤモヤを解決
こういうモヤモヤは語源をたどると一発で分かることがあります。
そこで、調べてみました。
やはり源流はフランス語で、もっと古いところでは、ラテン語でした。
英語の cheer はラテン語の cara から来てるようで、英語の face(顔)ということだったらしいです。
日本語でも、
のような表現があるように、人の気分は、いい時も悪い時も、顔に出るという考え方は洋の東西を問わないようですね。
なので、「顔」にすぎなかった cheer は、14世紀の後半からは「元気の出る表情」というような意味になります。
イギリス人の清教徒たちがメイフラワー号で入植したのが1620年で、それ以降、ニュー・イングランド地方の南部では、イギリス人たちがあいさつがわりに、
どんな気分だい?
とよく言っていたそうです。
それを聞いたその地方のネイティブ・アメリカンのアルゴンキン族が、気に入ってその言葉を取り入れ、「気分」という意味の cheer が広まっていったという説が有力だそうです。
おそらく、「気分」が「励まし」に変わり、それがいつのまにか、動詞へと変化していったんでしょう。
つまり、
という図式は丸々逆で、
という流れになったと推測されます。
というわけですから、ただ単純に「乾杯!」と言っていたのは、居合わせた人か、思い浮かんだ事柄などへの励ましになっていたことが分かります。
これからは、乾杯するときに、そんなことがふと頭をよぎると、なお、乾杯が楽しくなるのではないでしょうか?
実は、「乾杯」の表現はまだまだあります。
Cheers! だけで終わってしまうのはおもしろくないので、また、さまざまな乾杯の表現と使い方について書きたいと思います。
では、乾杯!!!
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