英語で「宝の持ち腐れ」はどう言うのか翻訳家さんに聞いてみました

英語で宝の持ち腐れ

「宝の持ち腐れ」って英語にあるのでしょうか?
「腐る」って、湿度の高い日本特有の表現なのでしょうか?
日本じゃなくても腐るもんは腐るだろってツッコまれたので、翻訳家さんに聞いてみました。

スポンサーリンク

PICK UP
▼まだまだ聞いた翻訳家さんの面白解説▼
英語でなんて言う? 日常生活編を翻訳家さんが解説

英語で「宝の持ち腐れ」って何と言うの?

What a waste!

いちばん親しみやすく、またなるべく短めの英語で言えば、これですかね。
あるいは、

What a waste of talent!
才能の無駄遣い

でもいいかもしれませんが、「宝の持ち腐れ」の話は才能に限った話とは限りませんので、やっぱ

What a waste!

ですかね。

英語の waste は、動詞でも名詞でも、

「何かをだめにする」とか、
「何かを無駄に使う」ということです。

ついでに、

What a …!

というのは、

What a fine day it is!
今日は何といい天気なんだ!

って言う時の、「なんて・・・なんだ」という時の感嘆文のパターンでしたね。

要は、日本語の「なんて、もったいないことを」っていう意味です。

高度な「宝の持ち腐れ」

もうちょっと「宝の持ち腐れ」に近い高度な言い方も覚えておきましょう。

それは、

an embarrassment of riches
有り余るほどの財産

という言い方です。

意訳すると、

「金持ちも持て余して困ってしまうようなこと」

という意味です。

頭の embarrassment は、「戸惑い」という意味で、これはイタリア語から英語に入ってきた言葉です。

em- は、英語の in で「中に」ぐらいの意味。

bar の部分が、柵とか邪魔をするもので、柵に入れられると「戸惑う」「困る」という意味。

rich は金持ちという意味の名詞です。

このちょっと長めのフレーズ、もう「宝の持ち腐れ」という訳を定訳にしちゃっていいんじゃないですかね。

元は、フランスのお芝居のタイトルのようで、英語に直訳したようです。

どんな使い方をするのかというと、

The art museum ‘s problem is an embarrassment of riches, with nowhere to put most of them.
美術館の悩みの一つが、ほとんどの作品に飾る場所がなく、まさに宝の持ち腐れだ

というような感じで、まさに「宝の持ち腐れ」感満載の例ですね。

 

ちなみに、現代アートの世界では、作品自体が不動産よりも莫大な資金の投資の対象になっています。

例の切り刻まれたバンクシーの絵の例を持ち出すまでもなく、コレクターたちが買いあさり、それをしまいこんでるそうです。

せっかく人に見てもらうために作られたアート作品が、人に見てもらえないのでは、まさに宝の持ち腐れですね。

 

『アートのお値段』という秀逸なドキュメンタリーでは、まさにこのような What a waste! な裏事情がたっぷり描かれています。

映画『アートのお値段』公式サイト
ナサニエル・カーン監督 映画『アートのお値段』8月17日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー

時間のもったいないは What a waste of time! でしたが、

これは他の分野にも使えて、今挙げた美術館の場合は What a waste of money! な例かもしれません。

美術作品がほんとはどれだけの価値があるのか、まさにその「お値段」は、神のみぞ知るです。

いや、時間のみぞ知るかも。

バンクシー作の、ごていねいなシュレッダー付きの額から垂れ下がった作品の切り刻まれた姿は、その現代の風潮に対する強烈な皮肉だったのかもしれません。

似た表現の「宝の持ち腐れ」

あ、そうだ、「宝の持ち腐れ」に似た表現で、英語にはもう一つ大切なフレーズがあるのを思い出しました。

それが

too much of a good thing

です。

英語はそんなに難しくないでしょ?

Salt is good for your health,but you can have too much of a good thing.
塩は健康にいいけれど、どんなにいいものでも取りすぎはいけません

という言い方ができます。

つまり、

too much of a good thing の部分が

「過ぎたるは及ばざるがごとし」という意味になる点です。

「宝の持ち腐れ」とともに、人生の戒めとして

too much of a good thing
過ぎたるは及ばざるがごとし

も頭に入れておきましょう。

それを書かないのは、「宝の持ち腐れ」と思ったんでね~。

スポンサーリンク

世界的な「もったいない」

そういえば、「もったいない」って、環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞した、ケニア出身の環境保護活動家のワンガリ・マータイさんが、この言葉を取り上げてくれていました。

「MOTTAINAI」を世界共通の言葉としようと、世界に広めるのに一役買ってくれて話題になりましたね。

彼女によると、
「もったいない」のように、自然に対する敬意、リスペクトのこめられた言葉が世界には見つからず、この言葉は、

reduce(消費削減)
reuse(再使用)
recycle(再生利用)
respect(尊敬)

というこの四つの概念をたった一語で言い当てていると、この言葉に出会って感銘を受けたそうです。

この四つの英語は、よく考えてみれば、全部、re-という言葉が頭でそろっていて、そこも「うまいっ!」ですよね。

「もったいないは、wasteful と同じ意味であって…」

と、彼女自身も言っていますが、What a waste!も考え方は同じです。

直訳すれば、「必要以上に何かを使う」という意味です。

この「必要以上に何かを使う」という文字も「もったいない」に比べ、5文字も「必要以上に文字を使っている」ので、まさに「もったいない」です。

漢字の「もったいない」

そもそも、「もったいない」というのは、漢字で書くと、「勿体ない」となります。

もっと昔は「勿体」が「物体」だったそうで、「物」という字から左側の「牛偏」を取った「勿」という字に簡略されたのが現在の漢字表記らしいです。

「勿体」とか「物体」は、もともと仏教用語で、「物のあるべき姿」だそうで、それが「ない」というので、「あるべき姿じゃない」という流れのようです。

それは人、または物の「あるべき姿ではない」という教えが根本にありそうです。

 

英語の「もったいない」表現

「もったいない」に限って言えば、

Losing all the time in gambling is a waste of time! You’re going nowhere. Get a life.
ギャンブルで負けてばっかいるのは、時間の無駄だよ。そんなことやってても、何にもならないだろ。まともな人生歩めよ

時間の無駄ばかりか、お金の無駄ですね。

勝てばいいんだろと思う方はお許しください。

あたしが負けてばかりなので。

真ん中の

go nowhere

というのは、「どこにも行かない」→「まったく進歩がない」→「いつまでもラチがあかない」ぐらいの意味です。

You’re always gambling. What a waste of your talent! You should make use of your time.
いつもギャンブルばっかりやってんな。才能の無駄遣いだよ! もっと時間を有効活用したほうがいいんじゃないの

ぐらいにしておきますかね。

 

Get a life.

というのは、
「人生を持て→お前も暇だな」
「他にやることあるだろう、お前も暇だな」

というニュアンスです。

トレッキーと言われる「スター・トレックのオタク」たちの暗さに閉口して、カーク船長役の人が、この言葉を吐いたスキットが有名です。

逆に、「俺はそんな暇じゃないから」という時は、

I have a life.

で、

I don’t have a life.

は「俺の人生はむなしい」という意味になります。
中学英語的な英語でも、どっちにしても、結構、きつい内容ですね。

英語でオタクも覚えとこう

ちなみに、日本語のオタクは、いろいろ言い方あるでしょうが、いちばん一般的なのは英語では

geek

です。

もともと geek は、サーカスなんかの見世物小屋で、生きているヘビやニワトリの首を食いちぎって見せる、ランクの低い芸人のことでした。

そういや、日本の縁日なんかでも見世物小屋ってありましたね。

さいごに

どんな人も存在しているだけで宝です。

生きてることが宝です。

なにかに使える宝になろうとすることは素晴らしいですが、持ち腐れてもいいんじゃないですかね。

バナナも腐りかけが美味しいですし。

もったいないですかね?

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました