「宝の持ち腐れ」って英語にあるのでしょうか?
「腐る」って、湿度の高い日本特有の表現なのでしょうか?
日本じゃなくても腐るもんは腐るだろってツッコまれたので、翻訳家さんに聞いてみました。
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英語でなんて言う? 日常生活編を翻訳家さんが解説
英語で「宝の持ち腐れ」って何と言うの?
いちばん親しみやすく、またなるべく短めの英語で言えば、これですかね。
あるいは、
才能の無駄遣い
でもいいかもしれませんが、「宝の持ち腐れ」の話は才能に限った話とは限りませんので、やっぱ
What a waste!
ですかね。
英語の waste は、動詞でも名詞でも、
「何かをだめにする」とか、
「何かを無駄に使う」ということです。
ついでに、
というのは、
今日は何といい天気なんだ!
って言う時の、「なんて・・・なんだ」という時の感嘆文のパターンでしたね。
要は、日本語の「なんて、もったいないことを」っていう意味です。
高度な「宝の持ち腐れ」
もうちょっと「宝の持ち腐れ」に近い高度な言い方も覚えておきましょう。
それは、
有り余るほどの財産
という言い方です。
意訳すると、
「金持ちも持て余して困ってしまうようなこと」
という意味です。
頭の embarrassment は、「戸惑い」という意味で、これはイタリア語から英語に入ってきた言葉です。
em- は、英語の in で「中に」ぐらいの意味。
bar の部分が、柵とか邪魔をするもので、柵に入れられると「戸惑う」「困る」という意味。
rich は金持ちという意味の名詞です。
このちょっと長めのフレーズ、もう「宝の持ち腐れ」という訳を定訳にしちゃっていいんじゃないですかね。
元は、フランスのお芝居のタイトルのようで、英語に直訳したようです。
どんな使い方をするのかというと、
美術館の悩みの一つが、ほとんどの作品に飾る場所がなく、まさに宝の持ち腐れだ
というような感じで、まさに「宝の持ち腐れ」感満載の例ですね。
ちなみに、現代アートの世界では、作品自体が不動産よりも莫大な資金の投資の対象になっています。
例の切り刻まれたバンクシーの絵の例を持ち出すまでもなく、コレクターたちが買いあさり、それをしまいこんでるそうです。
せっかく人に見てもらうために作られたアート作品が、人に見てもらえないのでは、まさに宝の持ち腐れですね。
『アートのお値段』という秀逸なドキュメンタリーでは、まさにこのような What a waste! な裏事情がたっぷり描かれています。
時間のもったいないは What a waste of time! でしたが、
これは他の分野にも使えて、今挙げた美術館の場合は What a waste of money! な例かもしれません。
美術作品がほんとはどれだけの価値があるのか、まさにその「お値段」は、神のみぞ知るです。
いや、時間のみぞ知るかも。
バンクシー作の、ごていねいなシュレッダー付きの額から垂れ下がった作品の切り刻まれた姿は、その現代の風潮に対する強烈な皮肉だったのかもしれません。
似た表現の「宝の持ち腐れ」
あ、そうだ、「宝の持ち腐れ」に似た表現で、英語にはもう一つ大切なフレーズがあるのを思い出しました。
それが
です。
英語はそんなに難しくないでしょ?
塩は健康にいいけれど、どんなにいいものでも取りすぎはいけません
という言い方ができます。
つまり、
too much of a good thing の部分が
「過ぎたるは及ばざるがごとし」という意味になる点です。
「宝の持ち腐れ」とともに、人生の戒めとして
過ぎたるは及ばざるがごとし
も頭に入れておきましょう。
それを書かないのは、「宝の持ち腐れ」と思ったんでね~。
世界的な「もったいない」
そういえば、「もったいない」って、環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞した、ケニア出身の環境保護活動家のワンガリ・マータイさんが、この言葉を取り上げてくれていました。
「MOTTAINAI」を世界共通の言葉としようと、世界に広めるのに一役買ってくれて話題になりましたね。
彼女によると、
「もったいない」のように、自然に対する敬意、リスペクトのこめられた言葉が世界には見つからず、この言葉は、
reduce(消費削減)
reuse(再使用)
recycle(再生利用)
respect(尊敬)
というこの四つの概念をたった一語で言い当てていると、この言葉に出会って感銘を受けたそうです。
この四つの英語は、よく考えてみれば、全部、re-という言葉が頭でそろっていて、そこも「うまいっ!」ですよね。
「もったいないは、wasteful と同じ意味であって…」
と、彼女自身も言っていますが、What a waste!も考え方は同じです。
直訳すれば、「必要以上に何かを使う」という意味です。
この「必要以上に何かを使う」という文字も「もったいない」に比べ、5文字も「必要以上に文字を使っている」ので、まさに「もったいない」です。
漢字の「もったいない」
そもそも、「もったいない」というのは、漢字で書くと、「勿体ない」となります。
もっと昔は「勿体」が「物体」だったそうで、「物」という字から左側の「牛偏」を取った「勿」という字に簡略されたのが現在の漢字表記らしいです。
「勿体」とか「物体」は、もともと仏教用語で、「物のあるべき姿」だそうで、それが「ない」というので、「あるべき姿じゃない」という流れのようです。
それは人、または物の「あるべき姿ではない」という教えが根本にありそうです。
英語の「もったいない」表現
「もったいない」に限って言えば、
ギャンブルで負けてばっかいるのは、時間の無駄だよ。そんなことやってても、何にもならないだろ。まともな人生歩めよ
時間の無駄ばかりか、お金の無駄ですね。
勝てばいいんだろと思う方はお許しください。
あたしが負けてばかりなので。
真ん中の
というのは、「どこにも行かない」→「まったく進歩がない」→「いつまでもラチがあかない」ぐらいの意味です。
いつもギャンブルばっかりやってんな。才能の無駄遣いだよ! もっと時間を有効活用したほうがいいんじゃないの
ぐらいにしておきますかね。
というのは、
「人生を持て→お前も暇だな」
「他にやることあるだろう、お前も暇だな」
というニュアンスです。
トレッキーと言われる「スター・トレックのオタク」たちの暗さに閉口して、カーク船長役の人が、この言葉を吐いたスキットが有名です。
逆に、「俺はそんな暇じゃないから」という時は、
で、
は「俺の人生はむなしい」という意味になります。
中学英語的な英語でも、どっちにしても、結構、きつい内容ですね。
英語でオタクも覚えとこう
ちなみに、日本語のオタクは、いろいろ言い方あるでしょうが、いちばん一般的なのは英語では
です。
もともと geek は、サーカスなんかの見世物小屋で、生きているヘビやニワトリの首を食いちぎって見せる、ランクの低い芸人のことでした。
そういや、日本の縁日なんかでも見世物小屋ってありましたね。
さいごに
どんな人も存在しているだけで宝です。
生きてることが宝です。
なにかに使える宝になろうとすることは素晴らしいですが、持ち腐れてもいいんじゃないですかね。
バナナも腐りかけが美味しいですし。
もったいないですかね?
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