「ex-」の意味とか読み方とか語源とか翻訳家さんにざっくり聞いた

「ex-」の意味読み語源

「ex」から始まる英単語、よく見かけます。

読みも微妙なまま読んでしまっています。

イーエックスってのも聞くし、エックスってのも聞きます。

音楽グループのエグザイルもあって…。

まるっと翻訳家さんに聞いてみました。

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「英語の○○って…」的な質問に翻訳家さんが答えてくれました

「ex」の意味

基本的に、「ex-」という先頭に来るパーツ(接頭辞)は、

「~の外の」
「~を超える」

という意味を持っています。

そして、

「ex-」は、日本語の「元」が見事に対応してます。

後ろに来るたいていの名詞にくっつけて、「元なんとか」っていう言葉を作れます。

例えば、

ex-husband(元夫)
ex-wife(元妻)

こんな感じ。

ex-wife は、今はワイフという座の「外にある」という考えから、「元妻」というような考えに至ったという流れなんです。

 

ex-president(元大統領)

これもありです。

ラテン語由来でなく、在来種のアングロ・サクソン系の単語で言うと、

former(前者)

が同じ意味で対応するので、

former president

でもいいんですが、ex-のほうが日本語の「元」のように短くて使いやすいでしょ。

ただ、注意したいのは、後ろに名詞がつかずに、ただの ex だけだったら、元恋人か元旦那か、それこそ元大統領か、分からないので、コンテクスト=文脈が英語では特に大事です。

つまり、前後関係が大事です。

「ex-」の読み

「ex-」の発音は、「エクス」です。

つい小学校で習った時のローマ字読みのくせなのか、イーエックスと読んでる方をお見かけしました。

世の中に、

ex カード
ex スポーツ
ex チケット
ex チャンネル

のような商標が氾濫していて、イーエックスという読み方が定着しているからかもしれません。

が、

「ex-」の発音は、あくまでもエクスです。

アルファベットの「x」の読みと思われているエックスではありません。

「X = エックス」じゃないぞの巻

アルファベットの文字だけを辞書で引いて、発音記号を確かめることはほとんどないと思いますが、「x」は英語ではエクスと読みます。

日本式のエックスではありません。

今さらなんですが、なんで、日本では、「x」をエックスと、小さな「ッ」を間に入れて発音するよう教えるのか、謎なんですけどねえ。

ラテン語の直系のイタリア語でもフランス語でもドイツ語でもオランダ語でも、イクスですし、スペイン語はエキスです。

小さい「ッ」は入りません。

大元はギリシャ語だったのか

要は、「~の外」という意味を表すギリシャ語の/eks/(エクス)という言葉がラテン語に入ってきた時にそれを表すために、クスの音をxで写したわけです。

こういうのを音写と言います。

リーマンがよく使う御社ではありません。

そういえばマイクロ・ソフトの Excel も ex-系でしたね

マイクロ・ソフトの計算ソフトの Excel = エクセルも、イーエックセルと読む人はいませんよね。

いろんな説があるようですが、マイクロソフトの Excel は「~より勝る」という意味の動詞から来たという説があるようです。

このソフトができた当時の表計算ソフトは Lotus というソフトが主流で、それを超えるソフトだという意味ではないか説です。

まあ、その説だとしても、Excel はエックセルとかイーエクセルとか、まして、エ・エクセルなんて読んだら、言いにくいこと、この上ないです。

エ・エっ!て感じです。


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「ex-」の語源

語源に関しては、壮大にややこしくめんどくさいので、ほんとにざっくりいきます。

それでもわかりにくいかもしれません。

「ex-」という接頭辞は、もともとフランス語を通じ、さらに源流であるラテン語(さらに源流をさかのぼるとギリシャ語なんですが)から英語に入ってきたパーツなのです。

この、「ex-」で登場してきた「x」の不思議な読み方問題の一つに、1549年(天文18年)、日本に初めてキリスト教を伝えたことで特に有名なイエズス会の宣教師のフランシスコ・(デ・)ザビエルの読み方問題がありますね。

スペルは、だいたいどの国も、

Francisco de Xavier

ということになっています。

Xavier(ザビエル)が中学なんかの英語の授業で出てきたら、読み方を教えるのに苦労するでしょうね。

エックサービエルとか読んでしまいそうです。

フランス語でも/gza.vje/(ザビエ)と発音しているように、X が頭に出てきた時は、x が本来持っているクス音が濁音になって、グズみたいになって、ザビエルのザになるわけです。

もっと厳密に言えば、ザビエルはグザビエルと言ってもいいかもしれません。

英語の複数の「s」が時々「z」、つまり、スがズになるのと似てます

ex-を使った単語がフランス語などから流入してきた時、たぶんスペルは意識せず、エクスなどと発音していたんだと思います。

ただ、このエクスを活字として辞書などに載せて、スペルを固定させるというまでには、かなりの苦労をしています。

それこそ、エクセルという音のスペルは excel でいいんじゃないかと、スペルを落ち着かせるまで、英語はさまざまな苦節を経ているのです。

忍者のような「ex-」

「ex-」もスペルを固定させる際には、苦労を生み出す側でした。

元々いなかった「X」

「例えば」の example は、フランス語から入ってきた時には、essemple と、x は存在しなかった時期があるのです。

でも、この言葉はもともとラテン語なんだから、先祖がえりして、ちゃんと x を入れようかということになっていったんだと思います。

その元になったラテン語は eximere という動詞で、英語の take out、つまり、「取り出す」という意味です。

今後、注意しなければいけない例として「取り出す」イメージですね。

隠れている「X」

かと思うと、あまり使わない単語ですが、「裏返す」という意味を表す evert という単語の裏には、実は、「ex-」が隠れていて、-vert の部分は英語の turn を表しています。

turn outで、「ひっくり返す」です。

また、「放出する」という意味の emit なども、mit の部分が英語の send「送る」に当たり、「外に」送り出すので、「放出する」という意味になるわけです。

こんな具合に、「ex-」は、まさに正体不明の「X」のように、姿を現したり、姿を消したり、忍者のようなやつなのです。

このパーツを使った単語は、無数にあるので、ここでは一つ一つはとても紹介しきれません。

さらに英語のスペルの固定に関する混乱

姿を現したり、姿を消したりする「ex-」の存在だけでも厄介な中、さらなる混乱が拍車をかけます。

イギリスは各地の方言がばらんばらんです。

そのため、単語のスペルを固定させるために、王様の文書を作成するお役所の権威を必要とした歴史まであります。

いざ、今まで耳でエクセルと聞いてた言葉を、辞書に載せて固定するという時。

「これはもともとラテン語から入ってきたんで、スペルとしてはフランス語っぽい essel より、excel のがラテン語っぽくてかっこいいじゃん」

と言ったかどうかは知りませんが、わざわざ古典を匂わすスペルにしたのだと。

また、その種の古典を匂わす英単語って結構多いんですね。

ある意味、「かっこつけて」excel にしたんじゃないかという経緯があるわけなんです。

たった「ex」の発音やスペルのことで、ややこしい話が長くなってしまって申し訳ありませんが、ざっくり掻い摘んでこんな経緯です。

例の ex)

よく、日本人が例)という意味で、ex)….というふうに使う人がいますが、おそらくそれは英語のexample(例)という意味で使ってるんでしょう。

でも、あれは和製英語風です。

ネイティブは、例)という時には、

e.g.)

のように書くはずです。

これはラテン語の exempli gratia の省略形です。

exempli は example の原型だという推測がつくと思います。

gratia は「~のために」という意味合いです。

英語に直訳すると for the sake of example で、要するに英語的に言うと for example ということです。

for example の省略形で、f.e.) なんて書いてしまうと、微妙な空気が流れるということになってしまうわけです。

ありがたき単語のスペル

今では、平気で英語の辞書に載ってる単語のスペルって、ほんと並大抵の苦労じゃなかったので、これからはありがたくスペルを受け入れる気持ちも大事ですね。

ほんとにちょっとしたことでも、いろんな歴史や経緯があるんだなと、痛感させられところですが、たとえ貧乏になっても、あなたの今後を救うのは、英語の習得もふくめたこうした教養です。

この手の知識と教養がいつか必ず役に立つ時が来るはずです。

というわけで、今後「ex-」っぽい単語を見つけたら、そんなことをちょっと思い出していただければ、記憶にも留まりやすいんじゃないでしょうか?

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