英語で「虫の知らせ」は何ていうか翻訳家さんに聞いてみました

英語で虫の知らせ

「虫の知らせ」が口癖になってる知人がいます。
その知らせがうまく機能してないように見える人なのですが、お知らせはよく届くみたいです。
英語にもある表現なのか、翻訳家さんに聞いてみました。

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英語で「虫の知らせ」って何と言うの?

premonition

「虫の知らせ」を表す名詞を英語で、と言われれば、premonition というラテン語系の英語があります。

語源的には、

pre- の部分が「」で、

-monition の部分が「警告

という意味なので、「前に来る警告」、つまり、

「予感」とか「予兆」

ということで、ちょっと不気味感が伴う言葉です。

この言葉を最初に覚えたのは、スティービー・ワンダーの 「Lately 」という名曲で、「最近」という意味のタイトルでした。

ちゃんとした邦題は知りませんが。

「最近、ちょっと妙な感じがしてさ、これといって理由があるわけじゃないんだけど、なんか君とお別れするかもしれないというのが頭から離れないんだ…」

みたいな歌で、まさに「虫の知らせ」を愛に結びつけた歌なんですけどね。

「最近さあ・・・」から始まって、この premonition が外れればいいんだけど、結局、当たるんだよね、こういう「虫の知らせ」って、という大意です。

また、premonition よりもうちょっとなじみのない言葉だと、やはりラテン語系の

presentiment

というのもあります。

これは、pre- がやはり「」で、-sentiment が sense と同じ仲間で、英語の feel という意味です。

前に来る感覚」、つまり「虫の知らせ」ですね。

説明付きの表現

ただ、日本語でも「虫の知らせ」がどんな知らせなのか、という情報を伴わないと分からないことがありますよね。

日本語は「~っていう」とか「~という」を前か後ろに付けて説明するじゃないですか。

英語には、それと似たような言葉があって、「~っていう」時に使うのが、節を伴う that です。

で、英語では

have a hunch (that)…
「~という」虫の知らせがある

という言い方をよくします。

hunch という言葉の意味なのですが、これは「瘤(こぶ)」という意味です。

この瘤という英語は、元々は「押し上げる = push」のような意味を持っていました。

力こぶを人に見せる時、よくその横で手を添えて押したりしてませんでした?

どこかを押すからこそ、「こぶ」ができるという発想です。

それが比喩的に使われて、頭の中で押されたようにポチッと浮き上がってくる考えが、hunch というわけで、

I have a hunch (that) I’ll break up with her.
なんとなく彼女と別れる気がするんだ

というふうに that(がなくてもいいんですが)以下の内容を引きつれて、「虫の知らせ」を説明できるわけです。

おもしろいですね、日本ではそれを「虫」にたとえ、英語は「瘤」にたとえるわけですから。

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なんで虫なのか?

ところで、そもそも、日本語の「虫の知らせ」の虫って何なんでしょうね?

「虫の知らせ」ばかりでなく、「虫がいい」とか「腹の虫がおさまらない」なんていう言い方もしますよね。

これって元々は道教の考え方なんですって。

人間の体内には、
三尸(さんし)とか三虫(さんちゅう)と言うらしいんですが、生まれた時から体内には三匹の虫が棲んでいると考えられているのだそうです。

人間が60日に一度めぐってくる庚申(こうしん)の日に眠ると、この三尸(=三匹の虫)が体内から抜け出して、天帝にその宿主の罪悪を告げ、その人間の寿命を縮めるという信仰なんだそうです。これが平安時代に貴族の間に広まって、江戸時代になると民間に伝わったらしいのです。

この虫たちは、人間に欲望をもたらすので、そいつらを退治しないと仙人になれないそうで、そういう庚申信仰っていうのが広まったのが、「虫」シリーズというわけなんです。

そういや、商店街に庚申塚なんていうのありますもんね。

そんでもって、庚申の日には、眠ってはなるものかと、誰かに見ていてもらわないといけないんで、庚申講っていう集まりを始めて、おたがいに徹夜で見張っていたそうです。

「庚申待(こうしんまち)」って言ったかな。

この考えから、いろんな虫の表現が生まれたのだと分かると、少しは腹の虫もおさまりませんか?

いや、ますます虫が騒ぐって?

まあ、そう言わずに、それにしても、虫シリーズの表現は、おもしろくもなんともない「予兆」や「瘤」よりおもしろい言い方だとは思いませんか?

英語で「当てずっぽう」

「虫の知らせ」なんていう深刻な言い方ではなくて、「ただの当てずっぽうだよ」なんて言い方もできますよね。

「ただの当てずっぽうだよ」

その場合は、

It’s just a hunch.
今のはただの当てずっぽうなんだよ

でいいですし、

競馬の時に、

What’s your hunch?
君の勘ではどれよ?

なんて言えるわけです。

 

もう一つ、「虫の知らせ」に似た英語で、

gut feeling
はらわたの感覚

というのもありますね。

こっちのほうが「虫の知らせ」に近いですかね。

ほら、テニスのガットも動物のはらわたから作られるでしょ?

まあ、この場合は、虫の知らせではなく、「けものの知らせ」になってしまいますけどね。

この gut feeling も先に挙げた hunch と同じように使えます。

It’s just a gut feeling.
ただの当てずっぽうだけどね

的にね。

以上、当てずっぽうじゃないといいんですけどね…。

え~っ?!

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