翻訳家さんに、英語の「へそ曲がり」を教えてもらいました。
日本語のへそ曲がりをわかってないってことがわかりました。
英語も日本語もインストールしておきましょう。
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英語でなんて言う? 面白ネタ編を翻訳家さんが解説
英語で「へそ曲がり」って何と言うの?
という形容詞があって、それが使えますね。
例えば
あいつはへそ曲がりだからな
とこんな感じ。
簡単でしょ。
構文的にも。
いわゆるSVCです。
普通、contraryといえば、
あいつはへそ曲がりだと思ったけど、それどころか、実際はいたってノーマルなやつだな
という具合に、
というよく見かける熟語で、「それどころか」という使い方が一般的だと思います。
最初の例文の、
He is a contrary person.
という言い方の場合、contrary は「正反対の」という意味の形容詞です。
ところが、on the contrary の場合は、the が前にくっついてるだけに、contraryは「正反対」という名詞です。
英語の contrary にしても、日本語の「正反対」にしても、正反対と言うからには、何かに対して”正反対”なわけです。
反対という言葉自体がある限り、「何に対して(の反対)?」という問いを連れてくるので、そのために限定がかかりますよね。
例えばの話ですが、お酒を飲む店で誰かを「ご指名~!」した場合、他の誰でもいいわけじゃありませんよね。
指名する以上、お目当てという限定がかかるわけです。
なので、限定の目印である the が自然にくっつくわけです。
ご指名じゃなければ、単数なら a で、複数なら ~s のはずです。
なので contrary には、普通、対象というか目的語に当たるものがくっついてきます。
「あなたの意見に反して、わたしはこの案でいきます」
と言いたければ、
あなたの意見に反して、わたしはこの意見を提示したいのです
という具合に、contrary の後に、「反して」と言う以上、to以下で何に対して反するかを提示する場合が多いわけです。
ところが、「あいつはへそ曲がりだからな」の
He is a contrary person.
の場合は、特に相手を示していませんね。
常に contrary なことばかり言っているので、この場合に限っては、いちいち示す必要がないからです。
「お前は相当へそ曲がりだな」と言いたければ、
ちょっとお下品なストリート・トークの場合は、so のかわりに、いわゆる fXXXing のFワードが使われたりするかもしれません。
the がくっつかない名詞
あ、そうだ、contraryには、
という、びったしの名詞もありましたね。
「へそ曲がり」はこれでもよくて、
でも、バッチリです。
いや、contrarian だと、「へそ曲がり」と似たような、日本語の「天邪鬼(あまのじゃく)」がぴったしかもしれませんね。
天邪鬼というのは、四天王とか金剛像なんかに踏みつぶされてる小鬼のことらしく、人間の欲望というか煩悩を表してるそうです。
当初は、あまのじゃき、だったんでしょうか。
それとも、「あまのじゃく」が先で、漢字は後づけの当て字かもしれません。
文句ばっかたれてる
「あいつはへそ曲がりだな」は、「あいつはいつも文句ばっかたれてる」という意味にとらえて、
でもいいかもしれませんね。
というのは、「屁理屈をこねる」という動詞です。
「へそ曲がり」は、そういや「屁理屈ばっかこねてるやつ」ですもんね。
進行形のテク
大事なのは always なんかがからむ時の進行形です。
これは「非難の進行形」と言って、「いっつも~なんだから」という気持ちで、中傷する時の特殊な進行形です。
ついでに、進行形の大事な使い方にも触れておきましょう。
「なんであんたは、急にへそ曲がりなことをするんだよ」
と言いたい時は、
で相当バッチリです。
え、なんで
じゃないの、と思うかもしれません。
なぜわざわざ are you being contrary という形にしたかというと、仮に、
You are contrary
と言い切ってしまった場合は、「あなたはいつもへそ曲がりだ」ということになってしまいます。
現在形というのは、ある様子が「常態化してる」時に使うという大前提があるのです。
ほぼ習慣的、時間的な幅があるわけなんです。
常日頃からではなく、一時的に「へそ曲がり」な行動をとると言いたい時に現在形を使うと、「いつも」へそ曲がりな状態になってしまうので、一時的な状態を表したい場合は進行形にしたくなるわけです。
というわけで、進行形にするのは、合理的な英語のロジカルな世界なわけです。
だって、いつもそうじゃないんだも~ん的な。
を進行形にするには、どうしたんでしたっけ?
進行形を作るには、
と習いましたよね?
このケースでは、一般動詞がたまたまbe動詞なので、beingとしたわけなのです。
be動詞だって、立派に動詞扱いしていいわけです。
というわけで、be動詞にさらに、be動詞のing形(=being)を加えて、
にするという、いわば苦し紛れ的な形です。
英会話ではよく使われます。
Beingなんていうと、ちょっと堅苦しいイメージで、最初は敷居が高いですけど、そのうち慣れます。
日常的な状態というより、一時的な状態や行動ということです。
この章の最初の訳をもう一度ちゃんと見てもらうと、
「へそ曲がりなことをする」
というふうになってるはずです。
「~である」という状態を示すのではなく、わざと「~なことをする」と動詞的な訳にしたのはそういう理由なのです。
さらりと高等テクニックなんですけどね。
「いつも~なんだから」で表現できる、
常日頃の様子を非難した〝長い目線〟の進行形と
一時的な状態とか言動を表す〝短い目線〟の進行形。
長短があって、むずかしいかもしれませんが、こういうところが分かってくるとおもしろくなるのが、英語の醍醐味なのです。
文句をたれる
「文句をたれる」っていう日本語に相当する bitch という動詞もついでに覚えておくといいかもしれません。
あまり品のいい言葉ではないので、聞く時だけにしておいてくださいね。
ほら、映画なんかで、「くそアマ」とか、
嫌な=きつい女≒悪女のことを bitch って言ってるのを聞いたことあるでしょ。
映画なんかの「畜生」という時で有名な
Son of a bitch
も、Fワードと並んで、swear word という卑語なので、親の前で発言したら、口を石鹸で洗われるような言葉ですので、ご注意ください。
「へそ曲がり」のへそ
さて、翻訳をするためには英語以上に日本語を知る必要があります。
ということで、日本語の語源コーナーにいきましょうか?
そもそも、日本語の「へそ曲がり」って、何で「へそ曲がり」と言うのでしょう?
「へそ曲がり」っていう言葉自体、幼児期に戻ったような言葉のイメージがあって、かわいらしく感じるのはわたしだけじゃないと思います。
「あ、この子、またへそを曲げた」なんて、みなさんも母親から言われたことは数えきれないくらいあるでしょう。
でも、この「へそ曲がり」の「へそ」は、体の真ん中にある結び目的な「へそ」のことじゃないと知った時は、驚いたと同時にがっかりしましたよ。
「へ~そ~なんだ」って、思いますよね。
すいません、ありがちな駄じゃれで。
綜麻は、そのものズバリ、巻子とも書くようです。
英語で「へそ」
英語で、体の真ん中の「へそ」というのは、
とか、間を空けない
です。
英語だと、「おなかのボタン」です。
こっちも「かわいい感」がありますね。
ちなみに、間を空けるbelly buttonは、
とも言って、tammyは「ポンポン」という意味の幼児語です。
ポンポンぼたんです。
ね、洋の東西を問わず、幼児期のイメージですよね。
へ~そ~
へ~そ~なんだ~と思うこのへんで、へそ曲がりのお話はやめておきましょうか。
どうか、へそが茶を沸かしませんようにね。
えっ?
「へそが茶を沸かす」って英語で何て言うんだろう?って?!
その話もおもしろいので、また追々やりましょう。
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