英語で「あるある」はどう言うのか翻訳家さんに聞いてみました

英語であるある

「そういうことあるよね?」という意味で、「あるある」って相槌を打ちますけど、あの「あるある」って英語で何と言うんでしょうね?
翻訳家さんに聞いてみました。

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英語で「あるある」って何と言うの?

英語には、

That moment when パターン

というのはあります。

つまり、「あの瞬間」パターンって言うんでしょうかね。

 

That (awkward) moment when you silently fart and somebody notices.
音のしないオナラをしたのに、誰かに気づかれてしまった時の気まずいあるある

というのはどうでしょう?

( )の中にある awkward というのは、「バツが悪い」という形容詞で、それはなくてもいいですが、あると「やっちまった~」感がなお出るというわけです。

あ、ちなみに「オナラをする」は、fart という動詞を使って表現します。

 

ここまで書いたので、しょうもない話題ももう一つ。

スラングで

SBD

というのがあります。

Silent but deadly

の略です。

どういう意味かお分かりですよね。

音のしないすごいやつです。

「音なしだけど、死にそう」ってやつ。

もとい!

女の子にこれはないか?

 

さて、もっと一般的なあるあるとして、これはどうでしょう?

The moment (when) you walk into class and you realize you forgot your homework.
クラスルームに入っていって、宿題を忘れたと気づいた時の気まずいあるある

人にそんな「あるある」ってないって聞きたい時は、前に、

Have you ever had the moment when…..?

と前に補えば、いいと思います。

あるいは、

Can you relate to?

という前置きでもいいかもしれません。

この can relate to というブロックの relate to というのは、「何々に共感する」という意味ですから、「あなたにはそういうあるあるはない?」と聞いているのに等しくなります。

辞書で引くと、relate to… は「…に関係する」と出てきますが、もっと「何かに寄り添うような」身近なニュアンスがあります。

そもそも「あるある」という呼びかけは、あなたにも「身に覚えがありませんか?」という寄り添った言い方なわけですから、まさにふさわしい言葉ですよね。

 

典型的な話

まあ、平たく言ってしまえば、日本語の「あるある」は、typical story(典型的な話)という風に置き換えられますよね。

typical って「典型的な」という意味で、type=タイプの形容詞形です。

英語のブログなんかでは、7 things that dogs doというタイトルで、ワンちゃんの「あるある」を七つほど挙げて「犬がよくやる七つのあるある」的な感じで書いてあることがあります。

Things that X do or Y does

という公式も立てられるかもしれません。

典型的なしぐさや癖が一つではおもしろくないので、七つほど挙げ、thing ではなく things と複数になってるわけです。

七はなぜか収まりがいい。七人の侍とか荒野の七人とか七つの大罪とか。

 

複数にするのが面倒であれば、stuff という数えられない名詞でくくってしまってもいいですね。

カジュアルに、

Stuff X do or Y does

というふうに言えます。

Yes, that’s stuff our boss does.
そうそう、それってうちのボスのあるあるだよね

と「それって」という意味の It’s とかThat’sを前に置くと座りがいいかもしれません。

ズバリは無い

「リンゴ=apple」のように、残念ながらそのものズバリの日本語に対応する名詞の英語は特にありません。

「あるある」って日本語からしても不思議な言い方ですよね。

何があるのか、書いてないから…。

存在動詞の連呼が名詞化して独り歩きしてます。

まさか直訳の「There is, there is」なんていう言い方があるわけがありません。

「あるある」な言葉に対応する英語の名詞そのものは、「ないない」なわけです。

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ミーム

さてさて、冒頭に出てきた That moment when パターンという言い方。

このパターンのことを英語では pattern でもいいのですが、ちょっと学のある meme という言い方も覚えておきましょう。

メメじゃありません。

ミームと読みます。

 

ちょっと話はズレます。

ある実験結果があります。
実験は、もらったエサを洗ってから食べる習慣というか文化がある猿の集団の中に、洗って食べる習慣のない新入りの猿を入れて、行動をチェックするというものです。
何という名前の猿かは忘れてしまいましたが、エサはリンゴだったかイモだったかを与えました。
数日後、新入りの猿は誰に教わったわけでもないのに、見よう見まねでエサを洗って食べるようになったというものです。

まったく言葉が通じない猿の世界なのに、なぜその新参者の猿はエサを洗うようになったのでしょうか?

もちろん、仲間のしぐさを模倣したからです。

遺伝子によらないで、模倣によって伝えらえる情報の単位をミームと言うのです。

これは、イギリスのオックスフォード大学の動物行動学者リチャード・ドーキンスが1976年に出した本に書いた言葉で、言ってみれば、模倣の遺伝子とでも言うのでしょうか。

ギリシャ語の mimeme(模倣する)と gene(遺伝子)掛け合わせた言葉だそうです。

英語の「真似する」も mimic ですから、遺伝子のような習慣・文化的な情報の素子(ソシです。モトコではありません)という意味で、やや無理くり、ミームという造語を作ったのです。

「模倣子」と言ったほうが分かりやすいでしょう。

これは、猿ばかりではありません。
人間にも同じことが言えます。
例えば、
女性がグッチのバッグを持ち出すと、みんなグッチを持ちたがり、
ルーズソックスを履きだすと、みんなルーズソックスを履きだし、
誰かがインスタをはじめると、みんなインスタはじめちゃうのも、
あれぜ~んぶミームです。

要するに、「右へならえ」は日本人だけじゃなくて、人間が持っている本性なのかもしれませんね。

つくづく先祖は猿だったと思っちゃいますね。

というわけで、しぐさや行動には文化が反映しますし、言葉も文化の一つですから、言葉の世界でもミームというのがあるわけです。

その一つが、That moment when ミームというわけです。

あるいは、That moment when ジョークと言ってもいいかもしれません。

 

では、最後に問題です

次のは、握手を求めに行ったら、相手から握手ではなく、ハグをされた時のややバツの悪いあるある。

相手に当たる( )内の言葉を埋めてください。

ヒントは人称代名詞です。

That awkward moment when you go for a handshake and (   ) go for a hug.
こっちが握手を求めにいったのに、相手がハグをしてきた時のバツの悪いあるある

 

シンキングタイム

 

 

シンキングタイム

 

 

シンキングタイム

 

 

 

答えは they です。

この場合、 you は握手を求めにいった「あなた」で、「相手」が男か女か分からないので、he かも she かもこの文脈では分からないですよね。

なので、第三者という感覚で大ざっぱなイメージの複数でとらえて they です。

最近では、第三者の「誰かさん」を意味する somebody とか someone は they で受けるようになりました。

昔は somebody は男性優位の he で受けて、ある意味差別でしたけどね。

時代は変わりました。

以上、「あるある」な「あるある」でした。

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