英語で「片思い」は何て言うのでしょう?
学生の片思いと、結婚適齢期の片思いと、歳を重ねてからの片思い。
微妙にニュアンスが違うイメージです。
英語だとどんな表現になるのでしょう?
翻訳家さんに聞いてみました。
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英語でなんて言う? 恋愛ネタ編を翻訳家さんが解説
英語で「片思い」は何と言うのでしょう
これはちょっとスペルが難しくて、覚えにくいからもしれませんが、この表現をぜひ覚えておきましょう
まるで和製英語のような
one-way love
これでも通じると思います。
でも、ちょっと子供っぽい「片思い」じゃなくて、「実らぬ恋」とか「報いられない愛」という、ちょっと大人な日本語の訳としては、やはり unrequited love に軍配が上がりますね。
では、unrequited ってどういう単語なんだろう
まず、un は英単語によくある not という意味のパーツですよね。
問題は quit です。
覚え方のコツ
よく、「俺は会社を辞めてやった」という意味で、
っていう表現を耳にしたりしますが、この quit は実質「辞める」でいいんですが、日本語の俗語の「チャラにする」で覚えておくとイメージしやすいです。
ということです。
「解放」のイメージですね。
なので、unrequited love は、
つまり、「報われない恋」ないし、「実らぬ恋」なわけです。
昔の恋人old flameという言葉の大人の事情
以前、「年の差カップル」って英語で何て言うんだろうという話から脱線して、元カレとや元カノは英語で何て言うんだろうから、さらに脱線し、old flame(昔の恋人)という英語にたどりついたことがありました。
この old flame については、
「辞書には〝昔の恋人〟としか載っておらず、残念ながら日本語の訳には、未練がましさがあまり感じられません」
とも書きました。
さらに、この言葉の背景には、未練たらたら事情があるとも書いたので、今回はそのお話をいたしましょう。
old flame という言葉の裏に鍵になるフレーズがあるのです
それが、
というフレーズなのです。
例えば、
まだ、ある人に想いを寄せてるんだけど、実らぬ恋だっていうのは自分でも分かってるの。
こんな感じです。
carry a torch for は、時代劇によく出てくるフレーズで、古い日本語の「懸想(けそう)する」に近いイメージですね。
この誰それに対して「松明を持っている=carry a torch for」という、その松明 torch って、そもそも何のことなのでしょうかね?
ギリシャ神話へのご招待
英語とは切っても切れない関係にあるのが、聖書とギリシャ・ローマ文化ですが、こういうところにも遠い関係があるのです。
その昔、古代ギリシャ・ローマでは、花嫁は婚礼の晩に松明、つまりトーチを暖炉の前で燃やしておく習慣があったようで、そのトーチを結婚後の新居でも燃やしていたのだそうです。
では、なんで松明なんか燃やしていたんでしょう?
発音しにくい名前は覚えなくてもいいけど、伝統と慣習は頭の片隅に
ギリシャ神話の中には、ヒュメナイオス(英語ではHymenaeus)という結婚の祝祭の神(ちなみに、女神ではなく、男の神です)が登場してくるんです。
目立たないのですが、ギリシャ神話の中では、彼は主神のゼウスをはじめすべての神の結婚式の司会役をつとめたほどです。
そんな結婚の神であるヒュメナイオスは、すべての結婚式に現れると考えられ、もし現れないと、その結婚は悲劇に終わると昔は考えられていたのです。
では、なんで松明なのか?
なぜなら、ルネサンス以降、アートで彼の姿が描かれる時は、頭に花環をつけ、片手に燃える松明を持ち、紫のベストを着た若者の姿で表現されてきたのです。
なので、それにちなんで、ある人と結ばれたいという想いを抱くことを、「誰かにトーチを持つ」と表現され、ヒュメナイオスにかこつけてきた流れがあるのです。
トーチ・ソングとは?
こういう背景を踏まえて、主に女性が誰かに対して、実らぬ恋の想いをこめて歌うセンチメンタルな唄をトーチ・ソングと言うようにもなりました。
つまり、片思いの歌ですね。
そういう歌をメインに歌う歌手を torch singer とも言うぐらいです。
hold a torch forとは、結局・・・
赤い恋の炎が燃える松明を持ち続けるから、古い炎、つまり old flame という今回のお話の元になった未練タラタラの言葉のニュアンスがこれでお分かりいただけたでしょうか?
え、それでも、分からない?!
そういう想いは、いつまでもひきずらず、お誕生日のろうそくのように、ぜひ古い炎を吹き消してくださいましね。
おかげで、昔の男を思い出してしまったじゃないかって?!
いえいえ、このコラムは「火気」厳禁でございます。
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