complete lieって言うそうです。
まさかred lieかなんて思ってなかったよねって翻訳家さんに言われました。
お、思ってないです…。
赤だけじゃなく、いろんな色が出てくるお話でした。
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▼まだまだ聞いた翻訳家さんの面白解説▼
英語でなんて言う? 面白ネタ編を翻訳家さんが解説
英語で「真っ赤な嘘」は何と言う?
「真っ赤な嘘」というのは「完全な嘘」ということですから、早い話が complete lie でいいわけです。
ただ、嘘と組み合わせるのに、「完全な」の言い方には色々な単語が使えます。
日本語にもあるでしょ、「ひどい嘘」とか、やや堅苦しいけど、「明々白々な嘘」とか。
そういう言い方が英語にもあります。
というのも「真っ赤な嘘」に入ります。
もともと、blatant という形容詞は、「見え透いた、わざとらしい、あからさまな」という意味です。
どれも「嘘」と相性がいいというのも変ですが、言葉的に妙に相性がいいですね。
ブレイタントという感じで読みます。
「目に余る、言語道断の」という意味の形容詞flagrantも使えますから、これまた立派に「真っ赤な嘘」です。
「完全な」なら、out-and-out というのも「徹底的な嘘」なので、これも「真っ赤な嘘」になりますね。
赤じゃなくて白
おもしろい言い方で、「真っ白な」ではないですが、「白い嘘」というのがあります。
コンテクスト的には、「真っ赤な嘘」になりうる可能性があります。
たとえば、
この流れでは、
という流れです。
ただ、ちょっと説明するのがむずかしいのですが、ついてきてくださいね。
ハンサムだと言った人たちには悪気がないと思われます。
They ということなんで、彼らか彼女たちかはとりあえず分かりませんが、その人たちの前では言えないけど、「見え透いた、他愛もない嘘だというのは分かっていた」という意味です。
ただし、嘘をつかれた側が「他愛ない」とは思わず、実際は憤慨していれば、この例のように「真っ赤な嘘」になる可能性もあるというわけです。
向こうは「他愛もない」と思っていても、こちら側としては「他愛もない」と思えない場合もあるからです。
真っ赤な嘘が、真っ白な嘘に、手のひらを返したようにダブル・スタンダードになってしまって、かえって混乱したらごめんなさいね。
色の話
英米ではベッドに入る前に、子供たちが祈りを捧げるシーンがよくありますよね。
「天にまします我らの父よ・・・」で始まる神への祈りですが、あれ、ラテン語での始まり方は、Pater noster・・・で始まるので、通称、
主の祈りとも主祷文(しゅとうぶん)
ともいいます。
悪意のない純粋な祈りを、
と言いますが、
一方、それとは真逆で、よからぬことを企み、それが成就しますようにという祈りを、
と言ったりもします。
つまり、悪意のないのを white、タチが悪く底意地の悪いのを black と分けたりするように、同じ嘘でも他愛もない嘘を white lie と言う場合があるのです。
ちゃんと寝る前に歯を磨いたかと問われ、「はい、磨きました」的なやつはちょっとした嘘なので、white lie で、罪のない嘘なわけです。
タチの悪い嘘は、black lie と言えます。
すべからく、コンテクスト、つまり文脈によります。
緑とか青とかピンクとか
嫉妬の色は、シェイクスピアが『オセロ』で嫉妬の怪物をgreen-eyed monsterと言ったり、『ヴェニスの商人』でも green-eyed jealousy (緑の目をした嫉妬心)と言ったりしてました。
それ以来、えらく嫉妬していることを
(直訳:嫉妬で緑色になってる)
という言い方が英語では定着しています。
あと、お尻の色が青いという意味で、経験が浅いことも緑で表すところは、日本語と同じですね。
あ、日本では青でしたっけね。
日本語では青と緑をよく混同します。
信号の青は、英語では green light で、blue light ではありませんしね。
あと、ちょっとHなことになると、日本語ではピンク色を使いますが、英語で pink は健康を意味しますよ。
「お前、すごく健康そうだな」
と言ったりします。
あ、ちょっと緑に関しては、付け足しておくことが。
嫉妬を緑と結びつけたのはシェイクスピアと書きましたね。
実は、それより2000年も前の古代ギリシャに話はさかのぼらせてください。
西洋では「顔色が悪い」のは green とか pale(青白い)と言われていたようで、ギリシャ人は、病気または嫉妬心を抱くと、体から胆汁が出て、顔色が悪く(緑に)なると言われていたようです。
医学の父ヒポクラテスも四体液説を唱えていましたからね。
「緑」が「嫉妬心」というイメージは英語ばかりでなく、フランス語・ドイツ語・イタリア語などにも同様の表現が存在するようです。
古代ギリシャは西洋の基本ですからねえ。
確かに胆汁を出す胆のうは、緑色をしているそうです。
見たことないんで。
また、英語では怒ったりすると、see red と言いますし、気がふさぐと feel blue と言ったりもします。
真っ赤な嘘から、真っ白な嘘、緑な嫉妬心、怒る赤、憂鬱なブルーと、赤から青まで、まさに色とりどりな表現を見ていると、国際色の豊かさをしみじみと感じます。
世界は国境を越え、どこかでつながっているというのも、真っ赤な嘘とは言えませんね。
あ、そうだ、「真っ赤な嘘」に関するもっとおもしろい表現があったのを思い出しましたので、それについて、さらに深堀りさせてください。
真っ赤な嘘の深堀り
「真っ赤な嘘」の前に、嘘といえば、ジム・キャリー主演のそのものずばりの『ライアー ライアー』という映画がありました。
1997年の映画です。
最近、また観直したんですが、結構、笑えましたね。
なんせ、ジム・キャリーのおバカぶりが振り切っていて、最高です。
おまけに、映画が終わった後にごていねいにNG集まであって、サービス満点です。
ザッとお話の要点を。
という、この映画は、嘘ばかりついてる男の話で、『ライアー ライアー』という97年のコメディです。
ここまでは、物語の前段、ほんのさわりなので、ご安心ください。
さて、どうなるフレッチャー?!
後は見てのお楽しみです。
ライアー ×2な理由
ライアーというのはliar(嘘つき)をそのままカタカナにしたタイトルで、そこまではいいのですが、ちょっと待ってください。
なぜライアーだけでいいのに、なんで邦題でさえ二回もライアーを繰り返すタイトルになってるのかということです。
実は、このタイトルを見て、ネイティブは「真っ赤な嘘」をイメージするはずです。
それは、ライアーを二回繰り返してるからではなくて、その後に続く言葉を連想しているからなのです。
主に子供の間では、「い~けないんだ、い~けないんだ、嘘ついた、嘘ついた」的な有名な、
という語呂のいい、はやし言葉があって、「うそつき、うそつき、ケツに火がつき」のような感じの、liar と fire が韻を踏んだ、覚えやすいフレーズがあるんです。
「ランダムハウス英和大辞典」は、 (うそ、うそ、カワウソ)という押韻のはやし言葉だと定義してますが、ちゃんと日本語でも韻を踏んだ訳語をつけててえらいですね。
訳語を考える編集者さん、がんばりました。
まあ、「美味かった(馬勝った)、牛負けた」的な、まあ、しゃれみたいなもんです。
その冒頭部分がライアー、ライアーというわけで、つまり、「真っ赤な嘘」の幼児版と言ってもいいですね。
これにはいろんなバージョンがあるようで、
「うそつき、うそつき、火がついたズボンが、電話線からぶらさがってる」
がまず定番ですね。
日本語にすると、なんのこっちゃになってしまいますが、これまた liar と fire と wire がきれいに韻を踏んでます。
こういうのを日本語でも地口と言います。
さっきの「美味かった(馬勝った)、牛負けた」も地口ですが、英語にもこういうのは結構あるんです。
その証拠に、後半部分が
と、ズボンが出てきたんでベルトを使ったやつとか、 ピノキオの連想から、
というのもあります。
あ、ちなみに、英語でズボンのことは、pants と言うのはご存じですよね。
日本語のパンツは、特にアメリカ英語ではブリーフです。
イギリス英語では、pants はズボン下です。
ややこしいですねえ。
Pants on Fireが出てくるサイト
さて、昨今、トランプ大統領で有名になったフェイク・ニュースという言葉がありますね。
日本語で言うと、がせネタですかね。
実は、アメリカには、トランプ氏の発言も含めて、政治家の発言の真偽を確認してランクづけしているファクトチェック団体 のPolitiFact があるんです。
そのPolitiFact のサイトを見ると、発言の事実関係をチェックしたうえで 、その発言の真偽を6段階にランクづけしています。
そのうち5つは、
①True(正しい)
②Mostly True(おおむね正しい)
③Half True(半分は正しい)
④Mostly False(ほとんど嘘)
⑤False (嘘)
としています。
そして、最後に控えし、堂々6番目に、
⑥Pants on Fire(真っ赤な嘘)
という言葉を使っているのです。
ウィキペディアによれば、輝かしき6番目に輝いた”Pants on Fire”は、「不正確なだけでなく、馬鹿げている」とまでしています。
ただ、
“Liar, liar, pants on fire,hanging from the telephone wire !”
この表現は丸ごと使うには長すぎです。
前半部分の Liar, liar, pants on fire. だけでもまあまあ長いですよね。
pants on fire の固まりぐらいなら、まだ使えそうです。
たとえば、
というように使う人はいるでしょうし、
と言う人もいるかもしれません。
ただ、子供っぽい表現だという上記のバックグラウンドだけは押さえておいて、理解しておくことが、どんな場合にも対処できるでしょう。
というわけで、これが長い長い「真っ赤な嘘」の話の、以上が、嘘から出た真(まこと)なのでありました。
みなさんも、発言でお尻に火がつかないようにがんばりましょうね。
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