英語で「できちゃった婚」は?翻訳家さんに聞いてみました

英語でできちゃった婚

shotgun weddingと言うそうです。

先に赤ちゃんなんで、babyなんとかweddingかなあなんて思ってたんですが、全然違いました。

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英語で「できちゃった婚」は何て言うんだろう?

shotgun wedding

英語ではshotgun weddingと言います。

結構、英語のほうが物騒ですねえ。

というのも、この英語の言い回しの成り立ちは、その昔、結婚前に娘が妊娠したことを知って激怒した父親が、「ふざけんな」とばかり、妊娠させた花婿にむかって、ショットガンを向けて、「結婚せえ」と脅したのが由来とか。

そんな昔の風習が今も言葉に残ってるんですねえ。

「できちゃった婚」は、そのまんまの感じなんで、英語のほうが物騒ですけど、味というかユーモラスな響きがありますよね。

みなさんは、ほんとに銃を向けられないように気をつけましょう。

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riding shotgun とは何だ?

ところで、ショットガンといえば、つい思い出してしまうのが、西部劇によく出てくる駅馬車のシーンで使われる

riding shotgun

という表現です。

直訳すれば、「乗車用のショットガン」ということになってしまいますが、ここでは乗車って言っても、現代の車じゃなくて、馬車のことですし、ショットガン自体の話ではないのです。

riding shotgunは、

ride shotgun

という動詞としても使い、要するに「御者として警護役になる」というとんでもない意味に発展したのです。

御者は、
馬をあつかう者。馬車に乗って、馬をあやつって走らせる者。
のことです。

いったいどういうことなんでしょうね。

西部劇の王者と言ってもいいジョン・ウェイン主演、巨匠ジョン・フォード監督の有名な『駅馬車』なんかでも、御者の横にショットガン持って座ってる人いるじゃないですか?

なんせ、これは1939年の古い映画なんで、観てない人も多いかもしれません。

西部劇の映画はたまにあるんで、一度や二度、こういう光景を見たことあるかとは思うんですけどね。

西部劇と言えば、駅馬車。

駅馬車と言えば、西部劇という、大定番の大道具ですね。

たとえば、タランティーノの『ヘイトフル・エイト』とかね。

これなかなか見ごたえのある傑作でした。

御者は coachman

ま、それはおいといて、御者は coachman と言うんですが、その御者の横で銃を持って座ることを

riding shotgun

って言ったり、「御者の横に座る」というのがもう動詞句になってて、

I’m gonna ride shotgun.

と言ったりするんです。

日本人の英語感覚からすると、ride って言うと、他動詞で ride a horse で「馬に乗る」ような感じで使うものですから、ショットガンに乗るとか跨(またが)っちゃうのもおかしいしな、って思ったりするわけですよ。

くどい英語にすると、

ride (with a) shotgun

つまり、「ショットガンを持って馬車に乗る」が、with a はまどろっこしいってんで、消失しちゃったんでしょうか?

と考えるのは日本人的な考え方かもしれません。

英語ではこういうことはたまにあります。

たとえば、土砂降りの雨が降るって時、名詞を裸のまんま動詞の後にくっつけて(この場合、二つの名詞)、

It rains cats and dogs.

と言ったりします。

また、「じゃんじゃん泣くがいい」という意味で歌われる

Cry me a river

というジャズの名曲だって、名詞が副詞的に使われてますものね。

riding shotgun の場合も、名詞だけが独り歩きして、他の言葉の助け船もないのに、with「でもって」のノリで副詞的に使われてるのかもしれません。

話を元に戻しましょう。

もともと、riding shotgun する人は、

shotgun messenger

と呼ばれていたそうで、そのまた元は、

express messenger

と言われていたそうです。

なんせ郵便なんかあまり発達してない Wild West っていう大西部の時代です。

馬で旅して、時々、一杯ひっかける西部の飲んだくれカウボーイと違って、駅馬車は後ろの馬車に積んだ金塊や硬貨や札束や郵便物を早く届けるためのものですから、今でいう特急便とか急行便、エクスプレスなわけです。

express messengerとも言うよ

御者は馬を走らせてなんぼの役目ですから、ショットガンを持ってそれを護衛する人は、なんかメッセージを持ってたりして、express messenger という名にふさわしいわけです。

ところで、先ほど出た『駅馬車』という映画は、駅馬車が西部の大草原を疾駆する映画ですが、御者台のことイギリス時代からdickeyって言うんですけど、そこに無骨でむさくるしい男が二人デンと乗ってるわけですよ。

一人は手綱を持つ御者、そして、riding shotgun する護衛の二人がです。

たとえば、映画の『駅馬車』では、御者の横に映画ではライフルを持った保安官(マーシャル)が乗っていました。

そして、大草原に群れをなしてやってくる執拗なインディアンたちを蹴散らそうとします。

で、その保安官が町を出る時、こんなことを言うわけです。

“You boys take care of the office for a couple of days. I’m going to Lordsburg with Buck. I’m gonna ride shotgun.”
(お前ら、ここ二、三日の間、保安官事務所を頼んだぞ。俺は、バックといっしょにこれからローズバーグまでちょっくら行ってくっかんな。御者の横に乗って)

みたいなことをね。

ここでも、最後に ride shotgun が出てきてましたね。

でも、ほんとに大西部の時代にこのフレーズをほんとに使ってたどうかの文献は残ってないんですが、ひょっとすると、西部劇の映画とかテレビは結構さかんに作られてきたので、そういう後づけの世界で作られた言葉かもしれないです。

西部劇の小説も、いまだにたくさんあるので、それも一役買ってるかもしれないですね。

説得する物とは?

たとえば、銃のこと、西部劇では

persuader

と言ったりします。

ギャング映画なんかでも聞いたことがある気がしますけどね。

persuadeって、「説得する」という動詞ですから、銃のこと「説得するもの」と言うわけです。

この訳じゃピンとこないかもしれないので、「説得する」を「有無を言わさぬ」とか、もうちょっとべらんめえに訳して「四の五の言わせねえ」に置き換えると、がぜん雰囲気が出てきて、「説得」されませんかね?

要は、四の五の言ってるやつに、銃を向ければ、説得完了というわけです。

あるいは、西部劇らしいフレーズに、

Hold your horses.

という言い方もあって、いかにも馬を落ち着かせるカウボーイらしいフレーズじゃないですか。

これは「落ち着け」とか「おとなしくしてろ」っていう意味のスラングです。

いきり立ってる馬を落ち着ける姿を人間に充てたわけですね。

はたまた、ちょっとしたことですけど、

パートナーを、partnerじゃなくて、pardner(パードナー)と発音したりね。

「立ち上がれ」のGet up.のかわりに、Gitty-upと言ったり、

「死ぬ」ことを「地面を噛む」Bite the groundって言ったりするのも西部劇っぽいです。。

つまり、dieですね。

では、この persuader が目に入らねえのか、じゃないですが、話をショットガンに戻しましょう。

ショットガン遊び

ところで、riding shotgunという言い方から発展して、現代でも使われる I call shotgun.とか、ただ Shotgun !とだけ叫ぶ、ちょっとしたゲームというか遊びがあるのです。

そう宣言して、みんなで助手席を競い合うゲームです。

シートベルト着用の義務があったり、エアーバッグがいつふくらむかも分からない現代では、考えられないかもしれませんが、まだそんなものがなかった時代には、助手席は、後ろの席にくらべて脚が伸ばせるし、ラジオの選局ができたり、見晴しもいいし、大人気の席だったわけです。

なので、

I call shotgun !

とか、ただ、

Shotgun !

と叫んで、助手席を競い合う時の宣言になっていた時代があるのです。

いや、今でもナビゲーター気分になれる助手席を争う場合は、じゅうぶん使えるフレーズです。

決め方はいろいろあるでしょう。

じゃんけんとか、いちばん先に助手席のハンドルに手をかけた人がその席に座るとかね。

というわけで、たった shotgun という一言をサカナに、西部劇から電気自動車が走る現代まで疾走してきました。

たったの一単語とタカをくくらずに、こういう文化背景をつかんでおくのも、英語を習得するには大事なのです。

いや、単語そのものよりも、そっちのほうが大事かもしれません。

このように、英語習得の道を大西部にたとえれば、さまざまな表現の riding shotgun役をどうか目指してください。

きっとグンと見晴しがよくなるはずですよ。

outriderも覚えておこう

ここまで来たら、ついでに、riding shotgunと似たような表現である

outrider

という言い方も覚えておきましょうか。

ほら、日本でも駅伝とかマラソンで、ご苦労様な白バイの護衛がずっとつくじゃないですか。

ああいうのを outrider と言います。

また、重要な政治家が乗るリムジンにも護衛車が何台もつきますよね。

なので、そこから発展した比喩的な言い方で、outriderは政治家を擁護する

supporter

の意味でも使います。

発言などせずに、目立たないようにサポートするニュアンスです。

たとえば、

The Prime Minister’s outriders have green lighted the debates on constitutional amendment.
「首相を後方支援する応援団は、憲法改正論議をよしとしている」

とか、新聞記事にもこんなふうに riding shotgun が使われたりします。

It was quite by chance that The Chicago Times found itself riding shotgun for the Democratic Party.
「”シカゴ・タイムズ”がいつのまにか民主党を応援する形になっていたのは、まったくの偶然のなりゆきだった」

のようにです。

ちなみに、green lightは名詞から生まれた動詞で、

「青信号を発する」→「よしとする」

ということで、最後の文章は、

It is X that…

というXの部分を強調する、いわゆる強調構文ですね。

find oneself ~ing

は、「いつのまにか~する」という熟語です。

どうです、細かい部分はさておき、前よりぐっと見晴しがよくなったのではありませんか?

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