英語で「さすが」はなんて言うのか翻訳家さんに聞いてみました

英語でさすが

英語で「さすが」ってあるんでしょうか?

ニュアンスが似てる言葉はありそうですが、どんぴしゃなのってあるんでしょうか?

翻訳家さんに聞いてみました。

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英語でなんて言う? この状態編を翻訳家さんが解説

英語の「さすが」は?

That’s great!

「さすがだ」は、単純に、これでまかなえるのではないでしょうか。

あまりにシンプルで拍子抜けしてしまいますかね。

要するに、「すごいね」とか「やるじゃん」という意味だからです。

でも、「さすがはイチローだね」というふうに人物を交えて言いたい時がありますよね。

そういう場合は、

That’s what only Ichiro can do.

とか、

That’s something only Ichiro can do.

ぐらいでしょうか。

ただ、ちょっと説明的すぎますね。

簡単なフレーズ

もっと簡単なフレーズはないでしょうか?

あります。

「さすがは君だ」という意味なら、ごく単純に、

It’s so you !

でいけます。

イチローだったら、

It’s so Ichiro !

直訳すると、

「それはかなり君だ」→「それはかなり君らしい」

という意味です。

「君らしい」→「さすがは君だ

ということです。

これなら、短くて覚えやすいのではないでしょうか?

 

あるいは、

That’s you !

でも、

「これぞ君だ!」→「さすがは君だ!」

ということになります。

これが言えるのなら、イチローの場合でも、シンプルに、

That’s Ichiro !

「これぞイチローだな!」でいいわけです。

 

また、クイズやなぞなぞを出して、答えられた人をほめたたえたい時には、

You really do know your stuff.

と言えます。

要するに、

You know very well. とか Very well !(やるな)

ということですね。

「さすが」ということです。

 

また、「あら、算数で満点取ったの! すごいじゃない!」なんて言う時は、またまた you を主語にして、

Look, you got full marks in the maths test ! You really do know your stuff.
あれれ、算数で満点取ったのか! さすがだね

と言えばいいわけです。

この know one’s stuff は、

stuff は「もの」ということですから、「あなたのものを知ってる」。

くどく訳すと「自分の専門分野はよく知ってる」ということで、「抜かりがない」とか「お手のもの」という意味になります。

それを really と do で前から強めてるわけで、「さすがは君だ。抜かりがないね」とか「さすが君(にはお手のもの)だね」の気持ちがこめられています。

You really do のところは、他の言い方として、

You sure can…
You sure know…

というのもあって、「さすがに~はできるね」とか「さすがに~だけはよく知ってるね」の意味をこめられます。

 

この、

You really do know your stuff.

の know your stuff には、

アメリカで生まれたおもしろい言い方があって、

You really do know your onions.

という言い方もできます。

なんで、「タマネギを知ってる」と、よく知ってることになるのかは分かりませんが、タマネギのかわりにリンゴのパターンで

know your apples

という言い方もあります。

apples のところには、カラスムギの oats(ここまでは複数扱いですが)とか、果ては(物質名詞扱いの)know your oil というのまであります。

おもしろい表現をするもんですねえ。

農家や油田採掘で生まれた表現かもしれないですね。


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「さすが」のニュアンス

It’s so Ichiro !
さすが、イチロー

一時期、テレビでメジャー・リーグの野球観戦していて、口に出さないまでも、心の中で上のように何度叫んだことでしょう。

この「さすが」というフレーズ。

例えば、

あの剛速球ピッチャーのストレートは、「さすがの」イチローでも打てないだろうと思っていたのに、ちゃんと流し打ちをしてヒットにしたイチローのバッティング

を見て、上のようなセリフを吐くものだと思われます。

つまり、

「だめだと思ってたのに、すごいな」

のニュアンスを含んでいるとは思いませんか?

それに、「さすが」というのは、キーボードで変換されると、「流石」という漢字を当ててるケースがありますね。

英語ではシンプルな表現に着地しますが、ちょっと日本語の「さすが」の源流を少したどってみることにしましょう。

なぜ日本語の「さすが」は「流石」と書くのか?

「流石」という漢字を初めて見た小学生は、よほど物知りの子でないと、「さすが」とは即座に読み下せないでしょう。

実は、この読み方には、あの文豪の夏目漱石さんもからんでくるのです。

そもそも、「さすが」は、奈良時代までは

「然(しか)すがに」

という言葉だったようです。

「然すがに」は「しか・す・がに」と読み、

「しか」は「そのように」という意味の副詞で、

「す」は動詞の終止形で、

「がに」は逆説の接続助詞。

全体で

「そのように・する・ものの」→「そうはいうものの」とか

「さはさりながら」→「そうではあるが」とか

「しかしながら」というような意味に発展していったんだろうと推測できます。

「しかすがに」なんて、まるでカニか鹿の一種のようですが、

最初の「しか」が、

やがて「さはさりながら」の「さ」になり、

「しかすがに」は「さすがに」になっていったようです。

 

なので、「さすがイチローだね」という言葉遣いは、

そうはいうものの、やっぱりイチローだね」とか

なんだかんだ言っても、やっぱりイチローはすごいね」

という思考回路になっているようです。

「さすが」が流れる石になったワケ

その昔、中国の三国志の時代、いわゆる魏呉蜀の「三国時代(184~280年)」に孫楚(そんそ)という政治家というか武将がいて、天才的に頭のいい人だったそうです。

その孫楚が、世の中に嫌気がさして山にこもりたいと願い、友達の王済(おうさい)にこう言ったそうです。

「石に枕して、川の流れで口を漱(すす)ぐような生活をしたい」

と言わないといけないところを、間違えて、

「石に漱(すす)ぎ、流れに枕す」

と言ってしまったんですね。

 

王済に

「石で口をすすいだり、川の流れを枕にするような、そんなシュールな?ことはできるのか? それはおかしいだろう」

と指摘されると、負けず嫌いの孫楚は

「石で口をすすぐのは歯を磨くためで、流れに枕するのは耳を洗うためだ」

とこじつけがましい言い訳をしたそうです。

 

それを聞いた王済は、

「こいつはとんでもない屁理屈をこねる奴だけれど、なかなかうまいことを言うな。さすがは孫楚だ」

と大変感心しました。

この故事から、「さすが」を「流石」と書くようになったというのです。

 

このようにわかりやすい日本語で書くと、かえって分かりにくいので、仮に漢文で書いてみると、

枕石漱流(ちんせきそうりゅう)

と言わなきゃいけないところを、

漱石枕流(そうせきちんりゅう)

と言ってしまったわけですね、漢文的に書くと。

 

間違った方の最初の二文字を見てくださいね。

何か思い浮かぶでしょ?

そう、この孫楚の屁理屈ぶりが気に入ったのか、夏目漱石はこの「漱石」をペンネームにしたというわけなのです。

この間違えの漱石枕流(そうせきちんりゅう)は、

枕流漱石(ちんりゅうそうせき)

とも言うようになったので、この名詞部分だけを抜き取ると、あれ、不思議。

「流石」となりますね。

かくして、「さすが」は「流石」と書くようになったというわけなのです。

やれやれ。

なかなか書くと長いこの言葉に歴史ありですね。

このニュアンスを全部英語で汲みとるのは至難の技です。

以上、流れる石のように、頭に入るといいのですが・・・

今回は、さすがに当たる「流石」からのお話でした。

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