英語で「平社員」はどう言うのでしょうか?
いくつか表現はあるようですが、翻訳家さんはどれを選ぶのでしょうか?
聞いてみました。
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英語でなんて言う? ビジネス編を翻訳家さんが解説
英語で「平社員」の正解
が正解です。
もっと縮めて、
でもいいでしょう。
という感じです。
ちなみに、employeeというのは、「雇われの身」ということで、元はemploy「雇う」という意味の動詞なので、雇う側はemployerで、employeeは「雇われる」というフランス語由来の受け身語尾-eeが後ろにくっついていたのでした。
この受け身形の名詞ってあまりお目にかかりませんが、ちょっと思い出しただけでも、日本語の「バツイチ」に当たる「別れられた」という意味のdivorceeというのはありますね。
この場合、「離婚した女性」という意味で、ちょっと男社会が匂いますね。
男の場合は、能動型のdivorceと言うそうです。
話がそれました。
rank and fileの話に戻しましょう。
何だ、そもそもrank and fileって?!
あるネイティブの説によると、この言い方は軍隊と関係があって、
という意味があります。
そして、軍隊に入隊する時は、入隊願書を「提出する(file)」必要があって、このプロセスが済んだだけの兵士は、「まだ役職のないただの兵士」という意味でこう呼ぶと言われているのですが、実はそうではないらしいのです。
軍隊との関係はあるのですが、実はチェスとも関係があるのです。
チェスで言うと、
のことです。
それが軍隊だと、隊列を組む時の横列がrankで、縦列がfileです。
つまり、rank and fileって、軍隊の隊列のことです。
隊列を組むのは、ヒラの兵隊なわけで、ちょっと学校の朝礼を思い出しましょう。
朝礼で、檀上に立つのは、よほどのことがない限り、普通は、先生とか校長先生とか、ある意味、お偉いさんが立ちますよね。
まあ、生徒会長が檀上に立つことはあるでしょうけど、生徒会長というのはヒラの生徒ではなくて、役付きの生徒です。
つまり、隊列に並ばずに檀上に立つのは、軍隊に置き換えると、役付きの将校さんなわけです。
将校は隊列には入りませんから、rank and fileというのは、「一兵卒」ということなのです。
つまり、ヒラの兵隊さんです。
そこから、隊列を組むイメージが、平社員なわけです。
チェスは、元々は、インドから伝わった軍人将棋みたいなもんです。
軍隊の戦略をゲームにしたようなものですからね。
将棋の歩と同様に、チェスではポーンがまさに歩兵のことです。
平社員って、つまりは、ポーンや歩ってことです。
どっちも基本、前に一マスしか進めません。
ビョーンといくつも進める役付きの駒と違って、いかにもヒラです。
ヒラ、ヒラってうるさいなと平社員に言われるといけないので、では、前に一つ駒を進めましょう。
建物の縦横は?
ついでに、rowとcolumnというのも覚えておきましょう。
とも言うのです。
街角の横にちょいと入った路地、つまり、横丁のことをrowと言います。
また、縁起でもないのですが、死刑囚が入れられる房の並びはdeath rowとも言いますね。
死刑横丁です。
また、よく建築物にある、当たり前ですが、縦に長い柱はコラムcolumnと言います。
横丁というぐらいで、rowが横列で、columnが縦列になるのは、日本人的にはイメージといえば、イメージではないでしょうか?
じゃあ、ついでに英語で「たたき上げ」は?
「平社員」から軍隊やチェスの話にまで発展してきちゃいましたが、ついでに。
英語で「たたき上げ」ってどう表現するんでしょう?
英語には、日本語のように「たたき上げ」という人を表す一つの名詞での表現はありません。
ただ、
という動詞のかたまりを使って表現することはできます。
というふうに、the rank and fileを使うわけです。
じわじわと一兵卒から社長にまで登りつめてきた感じが、work his wayというかたまりに「我が道を往く」感が出ていませんでしょうか?
万年平社員さんの珍解答
「下は英語でunderだから、staffをくっつけて、under staffっていうのはどうだろう?」
なるほど。
確かに英語には、
という意味のというのがありますから、そういう発想ですかね。
ただし、形容詞でスペルが似ている
っていうのがあって、それと間違えられるかもしれませんので、どうでしょう。
topじゃなくて、overじゃダメなの?
ところで、今出てきたunderdogがなんで「負け犬」というれっきとした英語として認知されてるんでしょうかね?
underdogというのがあるなら、top dogというのもあります。
これは「負け犬」ではなくて、逆の「勝ち犬」です。
topが付くと、dogと間をあけて表記するので念のためご注意を。
でも、犬をunderとtopに分けて、なんて犬に勝ち負けをつけるのが、察しのいい方は、もうお分かりですよね。
犬のケンカを見れば、勝つほうは、たいてい上になってますものね。
ただ、underと来たら、その逆はtopであって、underとtopはペアで覚えておくと何かといいです。
underと来たら、overじゃないの?と思う人が必ずいると思うので、つけ加えておきますと、確かにtop dogに似た表現で、くっついた形の、ややくだけたoverdogというのもあります。
これは、underdogに対抗して20世紀初頭にできた言葉で、「勝者、強者」という意味でおどけて使われます。
じゃあ、ついでに「勝ち組」は何と言うのかな?
そうなると、英語の勝ち負けのwin or loseを使って、
と言えばいいでしょう。
あまり言いませんが、あえて「負け組」を言うとすれば、
ということになります。
ちなみに、勝ち負けが出てきたので、引き分けも書いておきましょう。
win, lose, or drawというテレビ番組もありますが、この三つを一組で覚えておくのもいいでしょう。
「平社員」他の珍答例
その他、
という解答例もありました。
このどちらがネイティブに通じると思いますか?
どちらもいい答えなのですが、どちらかといえば、Aでしょう。
Bはちょっとくどいかもしれません。
考察って楽しい
というわけで、平社員から社長のお話まで、今回は英語で登りつめきました。
rank and file
考察すると面白いですよね。
みなさんも、ぜひ登りつめましょう。
いや、別に登りつめなくても、いっか。
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