英語で朝飯前って表現はあるのでしょうか?
そもそも、朝食を取らない日本人が増えたって聞いたこともあるので、日本でもこの表現は聞かなくなってるかもしれないです。
朝食は重要です。
英語の話を翻訳家さんに聞いてみました。
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英語でなんて言う? ビジネス編を翻訳家さんが解説
英語で「(そんなの)朝飯前だよ」は何と言えばいいの?
いちばんよく聞くのは、
ですね。
「それは、一片のケーキだ」ということです。
丸か四角か知りませんが、小口に切ったケーキのことを
と言います。
ケーキって案外、くせものなんですよ。
ある時は数えられたり、またある時は数えられない名詞になったり不思議なコンセプトです。
例えば、できあがった丸々のケーキは大小にかかわらず
とか複数あると
なんですが、
切り分けた一片のケーキだと、いちいち一片のを表す a piece of を付ける不思議な物体です。
このあたりが英語が嫌になる一因なんですが、ま、そういうこともあら~なと考えましょう。
小口に切ってあろうが、なかろうが、そのケーキが、なんでこれまた、朝飯前に関わってくるんでしょうか?
ケーキをホールで丸ごと食べるのは、よほど好きな人とか、ギャル曽根なら〝朝飯前〟かもしれませんが、そうでもない人は、結構、骨ですよね。
でも、小口に切った一個か二個なら、そう、ぺろりと〝朝飯前〟じゃありませんか?
嫌がる人は、よほどの甘い物嫌いか、お酒の好きな人か…。
ケーキ v.s. 塩辛的な…。
というわけで、大概の人にとって、ケーキを食べるのは、ぺろりなので、〝朝飯前〟になるというのは、容易に想像ができると思うのですが、いかがでしょう?
まだまだたくさんの朝飯
「朝飯前」が、
というのは、最初に書きましたが、
It’s は「そんなの」という感覚です。
でも、「そんなの」の It’s は、「何が」ちょろいのかすぐ分かる場合は、It’s がなくても通じる場合が多いですから、省くことはままあります。
ケーキがあるなら、おいしいパイも顔を出しますよ。
という言い方です。
パイとおんなじくらいちょろい → ぺろりと食べちゃう、ということです。
これも、It’s 抜きで、
でもいけます。
パイもおいしいから、食べるのに苦労はしないという発想でしょう。
ケーキ関連だと、他にも
というのもあります。
これは元々黒人の間で流行っていた踊りのコンテストで、優勝者にはケーキが振る舞われたので、ケーク(←英語読み)ウォークという名前がついたようです。
なんで、踊りのコンテストが「簡単」なのかというと、ケーキをもらうぐらいの達人は、踊りなんか「ちょろい」からという連想らしいです。
あるいは、walk の親戚だと、
というのも時々聞きますね。
公園の中を歩くのは、「ちょろい」からでしょうか。
まあ、とにかく、「朝飯前」 の英語は、たくさんあって、映画の題名にもなった
なんていうのも「ちょろい」の意味で使いますね。
直訳すると、「確実なこと」なのが、なんで「ちょろい」のかというと、「わたしに、まっかせなさ~い=楽ちん」的な発想でしょう。
他にも
a piece of cake と同じくらい聞くのが、
という言い方です。
シンチと読みます。
シンチというのは、「鞍帯(くらおび)」のことで、このベルトがあると、鞍が落ちずに安定するので、「安心」から「ちょろい」の意味に変化していったんだと思います。
「これもまっかせなさ~い」の発想ですね。
おもしろいところで
というやつ。
子供がよく使いますが、あまり意味はなく、語呂がいいので、言葉遊びに近いでしょう。
時計がない時に、一秒を数えるのに、
と数えるようなたぐいです。
音節の長いミネソタと使うと、いい感じで秒針的に時間がかかるからです。
あ、そうだ、
というのもありますね。
ABCを言うぐらいちょろいという意味です。
上の as が一個しかないじゃないかって?
そうですね、
という時の、よくある熟語ですが、頭の as が抜けることはよくあります。
英語の前に、日本語の「朝飯前」はなんで?
そもそも、日本語の朝飯前って、なんで朝飯前って言うんでしょうか?
そこも押さえておきたいですよね。
今さらこんなこと聞けない的なシリーズですけど…
日本語の「朝飯前」の語源は、読んで字のごとく、朝飯の前ということです。
朝飯を食べる前は、空腹ですし、古今東西、あわただしく時間もないわけで、よって簡単な仕事しかできませんよね。
日本では、江戸時代の中頃までは一日二食でした。
そうなるとご飯の前は、よほど簡単な仕事しかできなかったわけです。
だから、お腹に力を入れなくてすむ仕事は、朝飯前なわけです。
ちなみに、一日二食だった日本人の食習慣が一日三食になったのは、江戸時代の元禄年間です。
それまでは雑穀や麦飯や玄米だった主食が、白米に変わったのもこの頃からだそうです。
それまでは、味噌汁と漬物だけだった食卓に、おかずが何品か添えられるようになったのもこの頃だそうです。
朝食には納豆とか煮豆、夕食にはひじきややわかめなどの海藻類、イモやごぼうやレンコンなどの煮物がつき、焼き魚や煮魚が食卓にのぼるのは、月に一度か二度のご馳走だったんです。
さみしいですねえ。
もちろん、肉類はありません。
肉類が入ってくるのは、建前上、西洋化が進む明治維新の文明開化以降です。
昔は、結構、質素な食卓だったんですね。
でも、ほら、
馬肉のことをさくら肉と言ったり、
鹿肉のこと紅葉(もみじ)、
猪肉は牡丹(ぼたん)と言ったり、
鶏肉はかしわと言ったりします。
肉食が憚(はばか)られた時代の名残りでしょうか。
それとも、お上に内緒で食べてた名残りかもしれません。
名前を変えるということは。
ちなみに、
「さくら」は肉の色から、
「もみじ」は鹿と紅葉をからめた和歌から、
「ぼたん」は花札の絵柄から、
「かしわ」は鶏の羽根の色が柏の葉に似ているからだとか。
結構、飢饉も多かったし、そうやっては隠れて食べていたのではないでしょうか。
牛や馬は、農耕民族にとっては、農業に欠かせない労働力です。
食べるなんて、とんでもないという発想です。
また、そんな余裕もなかったでしょう。
なんせ、年貢・・・今でいう税金は、お米で払ってきたのですから、どうにもこうにも農業重視の日本史です。
一方、生類憐みの令で有名な「お犬様」は五代将軍の綱吉ですが、幕末の十五代将軍の徳川慶喜は、大の豚肉好きで、「豚一様」と呼ばれていたそうです。
一というのは、慶喜は一橋家出身だったからです。
英語も日本語もわかったところで
英語で「朝飯前」の表現を見てきました。
こんなにたくさんあると、とても「朝飯前」とはいかないかもしれませんが、どれか記憶に残るものがあったら、使ってみてください。
一日三食じゃありませんが、一日三句は無理でしょうか。
いや、一日一句だな。
そう、言葉のダイエットは「朝飯前」なんですけどね~。
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